No.9 ページ10
することもなく暇になったのか、剣士はアジトから出た。
ただ、ぶらぶらと街を歩いている。
「…ふぅー」
溜め息に似たような深呼吸。
剣士は壁にもたれ掛かって立った。
近くには公園、側にはアイスクリーム屋、道を左に曲がれば大通りへ、右に曲がれば商店街へ。
元気そうに駆け回る子供もいれば、父親だと思われる男性と手を繋ぎながら歩いている子供もいた。
剣士はだらだらと汗をかき始めた。
当たり前だ、こんな暖かい日だというのに、長袖長ズボンなのだから。
そうだ、アイス食おう。
剣士はゆっくり壁から離れ、アイスクリーム屋へと足を向けた。
財布の中を見ると、小銭が少々と1000円札。
これくらいあれば充分か。と剣士はチョコアイスを買った。
早速アイスクリームを食べようとしたその時、反対側から走ってきた男児が、剣士の目の前で躓いた。
「危ない」
剣士は間一髪で男児をキャッチ。
男児は無事だ。ケガひとつしていない。
剣士はホッと息をついた。
…が、腹部に冷たい感覚を覚える。
まさか、と恐る恐る下を向くと、想像したそれが起こっていた。
「ヤバ」
服に男児が持っていたアイスクリームが思いきりついていたのだ。
服は汚れるし、それに責任を感じたか、もしくはアイスクリームが食べれなくなって男児は泣き出すし、散々だ。
これじゃあオレが泣かせてるみたいだろ…。
困ったように苦く笑う剣士。
ふぅ、と先程と同じように溜め息と似た深呼吸をして、男児の頭に手を置いた。
「お前は、なんで泣いてるんだ？アイスが食べれなくて悲しい？」
「うっ…ん、おにい、ちゃんの、っ服についちゃった」
「そうだな」
「ごめっ…んな、さ、い」
「よし、よく謝ったな。偉いぞ。オレは
怒ってないから、泣き止め。男だろ？」
それを雲が晴れたかのように笑顔を浮かべ嬉しそうに返事する男児。
剣士はそれを見て嬉しそうに微笑んだ。
「じゃあ、泣き止んだご褒美だ。はい、
お前にやる」
剣士は無事だった自分のアイスクリームを差し出した。
男児はきょとんとして何を言っているのか分からないような顔であった。
「チョコ、嫌いか？」
「ううん大好き！」
「そっか、じゃあ受け取ってくれるか？」
「…うん！」
そう返事が返ってきた時の剣士の笑顔と言えば、幸せや嬉しさに満ち溢れた優しい笑みだった。
「もう泣くなよ」
と頭を撫でて、帰るよう促した。
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おバカな傀夢(プロフ) - 皆さん、上手くて凄く尊敬します！！え、もう。好きになっても良いですよね。 (2018年6月26日 21時) (
レス) id: 5ff30031ff (このIDを非表示/違反報告)
十二月三十一日(プロフ) - え、ウチの子がとても良い感じのクズ感。そして、ミルクさんとロストアイズさんがクールビューティ過ぎて好きです。 (2018年6月26日 21時) (レス) id: 70aae954fa (このIDを非表示/違反報告)
ドットコム(プロフ) - 自然悦岫さん» 見てみます！ (2018年6月26日 6時) (レス) id: e6a479853a (このIDを非表示/違反報告)
自然悦岫(プロフ) - ドットコムさん» ありがとうございます。モデルにした谷川俊太郎さん作詞の合唱曲、「サーカス�機‘参宗縮粥廚鮴�非YouTubeで聞いてみてください。 (2018年6月25日 22時) (レス) id: 18ee1d3faa (このIDを非表示/違反報告)
ドットコム(プロフ) - ロストアイズさんカッコよ！！！！！！！ (2018年6月25日 22時) (レス) id: e6a479853a (このIDを非表示/違反報告)
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