204 ページ5
「本当はもっと確信できる証拠が欲しかったんだ。
でも僕にそんなことはできなくて。
クリーチャーは自分が昔、見聞きしたことを全て教えてくれたよ。
僕は正直嬉しかった。
あの手紙もそうだけど、僕には帰る場所があると確信させてくれたのは紛れもなくクリーチャーだ。」
「妙に答えをはぐらかしていたのはそういうことだったのね。
彼に口止めするよう言われたりはしたの？」
「いいやなにも…ただ君を見て、すごく嫌そうな顔をしていた。」
「私を？」
「うん…クリーチャーの言葉を借りるなら、君はシリウス・ブラックそっくりだって言っていた。」
「私の前ではそんなこと。「うん…普通は主人を悪くいうことはできないように魔法がかかっているはずなんだけど、クリーチャーにそんな魔法はかかっていないのかな？
まあそれはさておき、多分、僕を見つけたから、きっとクリーチャーは勢い余ってそう言ってしまったんじゃないかな。」
ノヴァは伏せ目がちになってそう、話を切ったが、はいそうですかとAは簡単に頷くわけにはいかない。
クリーチャーは、母のマーシェリーを好きではなかったのだろうか。
娘の私は気に入らないとそう言いたいのだろうかと、色々考えていると、だから、とノヴァは言葉を続けた。
「もしも君にその気がないのなら。僕にブラックの名前を譲ってくれないか？」
「はあ？譲るってえ？なにを？」
「僕はファミリーネームを名乗らない理由がなぜか、今ここで教えてあげるよ。
僕のファミリーネームは、オースティンだ。」
「え、それって…「ああ、そうさ。」
伏せ目がちの瞳に、だんだんと怒りの表情が乗ってきた。
Aは嫌な予感を感じたが、ノヴァの怒りは止まらなかった。
「今君の話を聞いていて、僕は確信したんだ。
僕に家族がいないのに、僕についているファミリーネームの理由。
それは君の母親が、僕に奴の思い人を重ねていたからだ。
僕は自分の父親も母親もよく知らないが、でも、勝手に自分の気持ちだけ押し付けられた俺は、俺はどうしたらいいんだ！」
僕から俺に変わる言葉に、Aは警戒値を高めた。
バッと離れて距離を取ると、グッと力強く握られていた拳はやがて、力なくだらんと垂れた。
「満足か？
僕が隠していたことは…これが全部だ。」
震える肩を、Aは黙って見つめ、そして意を決して一歩近づいた。
「…ごめんなさい。」
どれだけの気持ちが伝わったかはわからないが、その肩を抱きしめることしかできない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 95人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
イライザ(プロフ) - ベルモットさん» ふふ、ありがとうございます。まだ成長しきれない感じが伝わるように書きました。これからどう変わって行くのか、どうか見守っていただけると助かります。 (2019年9月12日 8時) (
レス) id: 546c85bffe (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 本日、引き続き読ませて頂きました。鷹の寮生らしく孤高で他人に頼らずに主体で好み。鷹の石像と会話をする場面も。 (2019年9月12日 7時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
イライザ(プロフ) - ベルモットさん» そうですね、一歩一歩着実に。でも自分の領域は自分なりに守る。そんな考えを残しつつ、主人公が自分のプライドと並行して、何をどう変えて行くのかを伝えられたらと思っていまsy、ありがとうございます。 (2019年9月6日 3時) (レス) id: 546c85bffe (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - まだまだ読み続けているベルモットです。この夢小説は説明文や状況説明など細かく書かれていて、ハリーポッターの世界観が滲み出ていました。鷹の寮生らしく夢主は健気ですね。 (2019年9月5日 23時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
イライザ(プロフ) - crossmarian4272さん» ありがとうございます！更新頻度が少なく申し訳ないのですが、これからも楽しみしていてください。宜しくお願いします。 (2019年8月9日 21時) (レス) id: 546c85bffe (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ｉｒａｉｚａ | 作者ホームページ：
作成日時：2019年7月29日 22時
