222 ページ23
「全部が一気に解決するような問題じゃない。
だけど、俺はもっと何かあると思うけどな。
Aがいつどこでケイティの分霊箱になったのかとか。
ミーシャの正体とか。
ダンブルドアとAの母親の記憶の矛盾とか。」
「記憶の矛盾？」
シャドは言葉を続けた。
「ああ、話していて気がつかなかったのか？
出だしから疑問の一つだっただろう。
記憶のAの母親は、そもそも自分の正体をスリザリンのやつに隠しているようだった。
だけど、シリウスの正体を知っていて、自分の好きなやつの正体を知らなかったとは考えづらい。
結婚後に自分の妻の正体に気がついて激怒した男と、シリウスにすがったことに対して怒りを覚えたスリザリンの男と…何が違うんだろうな。」
自嘲的に笑うシャドに、Aは寒気がした。
シャドが小さく笑う声が暗闇の向こう側から聞こえた気がして、Aはいつの間にか下がっていた顔をあげた。
夜明けが少しずつ近づいているらしく、周りが見渡せるレイブンクローの談話室にはだんだんと朝日が入ってきた。
「でも、それは母がブラックの家を出たからで。」
「ああ、でもタペストリーには名前が残っていたんだろう？」
「…ダンブルドアが嘘をついたと？」
「それもある。だったらなんで嘘をつくのかだよな。」
正確かつ的確な指摘に、Aはぐっと言葉を詰まらせた。
「俺たちは今年でここを卒業する。
今まで黙って見守ってきた俺たちから一つ言えることは、Aはもっと自分の味方を増やすべきだ。」
「味方？どうしてそんなことを？」
「Aは今までいろんなことに巻き込まれすぎだ。
明らかに普通じゃない。
それに、ダームストラング生とAを引き合わせた黒幕ってのが居るんだろう？
俺だったらそいつを探ることから第一に始める。」
「でも姿も目的もわからないんじゃ…」
「何言ってんだ？本気じゃないよなその言葉。」
シャドの突き放したような言葉に、Aはもう泣きそうだった。
抱え込むには大きすぎたし、唯一話を聞いてもらえたから、ここまで話したのにAは裏切りにあった気分だった。
だが、シャドは容赦なかった。
「もう一度よく考えろ。
問題ってのは水面下で起こっていたことが耐えられなくなった時に、始めて尻尾を見せるものだ。
だったらその水面下を探るしかない。
大丈夫だ、自分の片割れを見つけられたんだ、それくらいできるだろう。」
朝日が差し込んできたことで、Aはシャドの顔がよく見えた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 95人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
イライザ(プロフ) - ベルモットさん» ふふ、ありがとうございます。まだ成長しきれない感じが伝わるように書きました。これからどう変わって行くのか、どうか見守っていただけると助かります。 (2019年9月12日 8時) (
レス) id: 546c85bffe (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 本日、引き続き読ませて頂きました。鷹の寮生らしく孤高で他人に頼らずに主体で好み。鷹の石像と会話をする場面も。 (2019年9月12日 7時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
イライザ(プロフ) - ベルモットさん» そうですね、一歩一歩着実に。でも自分の領域は自分なりに守る。そんな考えを残しつつ、主人公が自分のプライドと並行して、何をどう変えて行くのかを伝えられたらと思っていまsy、ありがとうございます。 (2019年9月6日 3時) (レス) id: 546c85bffe (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - まだまだ読み続けているベルモットです。この夢小説は説明文や状況説明など細かく書かれていて、ハリーポッターの世界観が滲み出ていました。鷹の寮生らしく夢主は健気ですね。 (2019年9月5日 23時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
イライザ(プロフ) - crossmarian4272さん» ありがとうございます！更新頻度が少なく申し訳ないのですが、これからも楽しみしていてください。宜しくお願いします。 (2019年8月9日 21時) (レス) id: 546c85bffe (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ｉｒａｉｚａ | 作者ホームページ：
作成日時：2019年7月29日 22時
