輾転反側 #実話 #起立性調節障害 (ページ1)

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明朗闊達ページ1

2007年春
関東の小さな町で一人の女の子が生まれた。
名前は明生。
小学生の時に宿題で名前の由来を聞いた際に、“明”るく元気に楽しく“生”きて欲しいから、と母は笑顔で語った。
2500ｇも満たない小さな女の子はその後、すくすくと育ち、近所の私立幼稚園へと入園した。

　どうやら、向かいの家に住む１つ下の春斗くんと毎朝手をつなぎながら通園していたらしい。
特に幼稚園を嫌がる様子もなく、姉である冬乃に誘われたのがきっかけで始めたピアノ教室も毎週元気に通っていた。

　明生が通っていた小学校は、全校児童20人ほどの小さな小学校で、築60年以上の校舎もボロボロだ。
だが、全校児童が少ないからこそ児童同士の絆は固く、毎晩、「早く学校に行きたい」と騒ぐぐらいだった。
明生は1度だけ「学校に行きたくない」と言ったことがあった。前日、同じクラスの女の子と揉めてしまい、会いたくないと言っていた。
　当然休ませてくれる訳もなく、その日は同じ学年の大翔くんに手を引っ張られながらも登校していたそうだ。

　明生の学年は7人。7人中、明生を含む6人は同じ中学校へ進んだが、1人、街の中学校へと進学した子がいた。
明生が1番仲の良かった大翔だった。大翔も“みんなと同じ中学校へ行きたい”と言っていたことは昨日の事のように覚えている。

　2020年 4月
　新型コロナウィルスが流行し、入学式は縮小されて行われた。
　何故か新入生代表挨拶に選ばれてしまった明生は、入学式へ行くのはとても気が重かった。入学式に参列しなければ沢山の大人に迷惑をかけてしまうことぐらいわかっていた。だから、渋々登校し、挨拶を噛むことなく入学式が終わった。

　4月から6月にかけての休校期間が終わり、入学式から2ヶ月がたちようやく、明生の中学校生活がスタートした。