星の降る夜には【そらる】

羽が23枚 ページ23

▼







「さあ、着きましたよ。」


「あ、はい…」






目の前に広がるのは大きな屋敷。





僕の父親の家であり研究所である場所。





「…？どうしたんです？車から下りていただかないと、家には入れませんよ？」





まただ。



この人は、人の感情を察するという行為が出来ないのか。



というか、全くそういうのは気にしないのか。






「すみ、ません……」


「いえ。謝るのなら早くしていただけると助かります。」





あーもうダメだ。



既に苦しい。






僕は何も言わずに車から下りた。





「相川様はいつもの部屋に居られます。先に部屋へ来い、とのことです」


「…行かないと駄目ですか。」


「ええ。そう言っておりましたから。」





黒羽さんは父に歯向かわない。


まさに絶対服従。



命の恩人とかどうとからしいけど。





母さんを殺したアイツが、そんな事をするわけがないだろ。






「では、私はここまで。何かご用がありましたら、お声掛けください。」






何かのマニュアル本のような言葉を並べて何処かへと立ち去った黒羽さん。








さて、そろそろ諦めようか。









もう、元の生活には戻れないだろうから。

羽が24枚→←羽が22枚

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す