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「貴方だけの音を」:2 ページ23

「…ハヤトさんが私に、見てもらいたいもの…」

手渡されたチケットを眺めながら、ぽそりと口にした。

ぞろぞろと体育館に観客が入って行き、開演を知らせるブザーが鳴った。

館内が暗転し、照明がステージに注がれる。

観客がざわざわと騒ぐ中、私も顔を上げてステージに視線を注いだ。

自分の胸の高鳴りが、やけに響いて騒がしく聞こえた。

*

ライブステージの出し物はパンフレットにも書かれておらず、参加者はおろか何をするのかも知らされていない、完全なるサプライズ。

それにも関わらず、室内は満員だった。噂ではこれの為に毎年来る人もいるらしい。

ステージで繰り広げられていたのは、漫才や演劇はもちろん___最もプログラムを占めていたのは、歌唱やダンスなどの音楽パフォーマンスだった。

吹奏楽部の壮観な演奏には盛大な拍手が送られ、隠れた逸材とでも言わんばかりの一般生徒のパフォーマンスも迫力があった。

白く緩い短髪を持つ儚げな雰囲気を纏う女子生徒の、今にも消えそうな幻想的でかつ感情を宿した歌声。

茶髪の緩い雰囲気を纏った男子生徒と、白髪赤眼の尖った雰囲気を纏う男子生徒二人組の相対的かつ絶妙な組み合わせの歌声。

途中で司会として月ノ先輩が出てきた時は室内に笑いが溢れ、一気に砕けた雰囲気へと早変わり。

楽しい時間というものはあっという間に過ぎていき、いよいよ次が最後の演目になった。

ざわざわと観客がざわめく中、私もただ視線をステージの方へ集中させていた。


___次の瞬間、空間が完全なる暗闇に包まれていた。


ステージに注がれていた照明が落ち、室内は一瞬にして静寂に包まれたのだ。

観客は先程までせわしなく開けていた口を閉じ、私も呆然と立ち尽くしていた。あまりにも突然の出来事に、皆喋ることも忘れて。

混乱する室内。視線は誰も彼も、ステージの方へと注がれたまま。


するとすぐに、先程までライブステージを照らしていた照明が再び点灯し、視界に明かりが戻る。


室内に明かりが戻って安堵していたのも束の間、観客は皆目の前の光景に釘付けになってしまった。


____ステージにいたのは。

「貴方だけの音を」:3→←最終話後編 「貴方だけの音を」:1



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設定タグ:夢小説 , 加賀美ハヤト , 2434   
作品ジャンル:ラブコメ
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こみ - 私もこの1年間高2A組だったのですごく嬉しかったです!幸せでした! (2021年4月4日 15時) (レス) id: a0adc0f2be (このIDを非表示/違反報告)
伊織(プロフ) - ばちぅ兼もてゃさん» こんにちは。コメント、そして読了ありがとうございます!続編の方は別のお話と同時進行の予定ですので、もうしばらくお待ちください。 (2020年6月20日 18時) (レス) id: 472e77b4e7 (このIDを非表示/違反報告)
ばちぅ兼もてゃ - こんにちは...ばちぅ兼もてゃです...最初から最後まで全部読んでました、執筆お疲れ様でした!続編も楽しみにしてますね、もちろん読みます (2020年6月20日 18時) (レス) id: 603073c1b4 (このIDを非表示/違反報告)
伊織(プロフ) - 蒼渇さん» 蒼渇さん、コメントありがとうございます。楽しんで頂けたようで何よりです。よければこれからもお付き合い頂ければ励みになります。 (2020年6月2日 14時) (レス) id: 472e77b4e7 (このIDを非表示/違反報告)
蒼渇(プロフ) - ひぇ…めちゃくちゃキュンって来ました…好きです!!!!!!!無理せず更新頑張って下さい! (2020年6月2日 10時) (レス) id: c685f96854 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:伊織 | 作成日時:2020年5月30日 14時

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