短編集【ｲﾅｲﾚ・ｲﾅｺﾞ】4 (ページ20)

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ヒロ円 2 ページ20

「ヒロトー！いくぞー！」

ポンっと優しいパスが送られる。それを受け止めて、彼の元に飛ばすように軽くパスを送ると、幸せそうな顔でボールを受け止める円堂くん。本当にサッカーを心から愛している様子に何故かキュッと胸が締め付けられてしまった。

一度はサッカーを使って全てを破壊しようとした俺にも、円堂くんは笑いかけるようにボールを投げ出してくれる。その事実が今は苦しくて、いっそのことサッカーごと嫌いになれたら幸せだったのかな、なんて。そんなことを考えてしまう自分が嫌になってしまう。

「円堂くん」

「ん？」

「君は…僕のことを許してくれるのかい？」

ポンっと蹴りあげたボールはぽすりと彼の胸元に吸収されていく。その言葉の意味を理解できているのかは分からないが、不思議そうな表情の彼は再びこちらにパスを寄越した。

「確かにヒロトが宇宙人だって知った時はすごく怖かった。でもお前のシュートを受け止める度、ずっと感じてたんだ。サッカーへの熱い思いをさ。だから許すも何も、最初から俺はお前を信じていたよ」

「円堂くん…」

「それに…ヒロトのシュートはさ、それだけじゃなくて…言葉に表すのは難しいんだけど…その…ドバババーンって熱い思いが流れ込んでくる感じがして…そのシュートを受ける度に俺の気持ちも熱くなる、ような…？そんな感じがしたんだ」

ボール越しに内に秘め続けた思いが溢れ出していたと思うと恥ずかしくて思わず頬に熱が集まるのを感じる。だけど少し離れた距離で、月夜の明かりのみの薄暗い空間じゃ、そのことに気付かれる様子はなさそうで。勢いのままに禁忌であろう質問を投げかけてしまった。

「え、円堂くんは…その思いをどう感じていたの…？」

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