居ない ページ22
翌日
異変に気が付いたのは、朝起きて直ぐだった。
昨日、中也の家で泊めて貰っていた。
同じベッドにわたしが潜り込み、ハグとキスをして、互いの温度を感じながらどちらともなく眠りに落ちた。
「中也…!!」
わたしが今焦って居るのは、中也が居ないからだ。
朝起きて直ぐに隣りに中也が居ないことに気が付いた。
わたしは慌てて飛び起きて、リビングへ向かった。
机の上には一人分の、朝ごはんと白と黒の犬のイラストがデザインされたメモ用紙があった。
『Aへ。俺の事は嫌いに成って呉れ。また、会える日が来る事を祈る。 中也』
そんな短い言葉の綴られたメモ用紙。
「…何で……」
そのメモ用紙から、
もう中也とは会えないんじゃないか…
もう中也はわたしの事が嫌いなのでは…
と思い、ぽろりぽろりと涙が零れた。
やっと叶った想いは、届いた瞬間にわたしの手をすり抜けて何処かへ行って仕舞った。
「ねぇ…何で…」
途方に暮れていた時、チラリとゴミ箱の中に白と黒のパンダが見えた。
早速手に取ると、其れは捨てられたメモ用紙だった。
全て、わたし宛の…。
それら全ての情報を集めて統合する。
分かったのは、中也が次の出張で命の危険がある事や、死んで哀しませたくないから、だったら離れた方が良いと思ったとか……
そして、決めた。
そんなの、如何でもいい。
中也を、見付ける!!
嫌いになんか、なれない!!
「ずっと、大好きだから…」
もう、この想いは止められない。
だって、あの瞬間から、ずっと大好きだから。
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爽斗 - せれな さん» 本当ですか!!ありがとうございます!!頑張ります!! (2021年8月27日 22時) (レス) id: 5b5562e114 (このIDを非表示/違反報告)
せれな - 本当に面白いです これからも応援しています! (2021年8月25日 20時) (レス) id: 6fed7b85b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:爽斗 | 作成日時:2021年7月15日 2時