狗巻棘の双子の妹【呪術廻戦】

6color ページ8

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「ん、チョコあげる」


『みずいろ！』



私が大好きなチョコレート。先生はいつも私のためにポケットにチョコレートを忍ばせてくれている。

今日は個包装になっているアーモンドチョコレート。受け取ろうと手を出す。

すると、五条先生は包みを開けた後、私の口元のチャックを下ろしてきた。



「あーん」


『！』



急なことで、両手を目の前にもってきて顔というか口を隠す。



















“女の子なのに可哀想”



















『っ、や…！』



そう抵抗した後、自分を守るようにして彼から体を背ける。

こんな至近距離で口元を、呪印を見られるのは私にとって苦痛でしかない。

五条先生はいつも急で強引だ。

前に一回、本気で「嫌だ」って伝えたことがあった。でも「僕は好きだよ」と彼は普通に言った。そんなことを言われたのは初めてで、安心して涙を流したのが私にとって大切な思い出。

でも、それでも、まだ戦闘中以外で人前に見せるのはできなかった。



『あ、あお…っ』



久しぶりに、水色以外の言葉を彼に言った。



「A」



優しい声。

顔を上げると、一気に安心する。

けど、まだ、不安なの。怖いの。嫌なの。

でも、先生だけはちょっとだけ大丈夫。

顔を見たら、声を聞いただけでそう思う。



「みずいろ、って言ってくれなきゃ嫌だな〜」



恥ずかしさのドキドキなのか、冷や汗の方のドキドキなのか、心臓が鳴り止まない。

口元を隠してる両手を先生は退ける。

私の顎に手を置いて口を少し開かせるように動かせばコロンとチョコレートが口に入った。



「美味しい？」


『…みずいろ』



首を縦に振る。

私の言葉に安心したような顔をする五条先生に、私も少し安心した。



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