88 平穏な生活 その�� ページ3
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??? Side.
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物語で言う、
クライマックスを迎えてから
この杜王町は、何もなかったかのように
“日常”へ戻っていった。
平穏な生活。あたりまえの毎日。
悪と正義が共存するこの町で
今日もまた一日が終わろうとしていた。
「康一くん！」
彼女の呼びかけに
僕は振り返って手を振る。
…変な感覚だ。
平和なはずなのに、
幸せと呼べるものが
この町にあふれているはずなのに
何か、また起こりそうな気がする。
「ねぇ、由花子さん…。」
「…こっちの道を通りましょ。」
彼女は強引に手を引き、
僕の視線の先にいる少女から
自分たちを遠ざけようとした。
本能が「危ない、危険」だと言っているように思えた。
「…。」
その女の子は、道の真ん中で
僕らをジッと見つめている。
その瞳には、真っ黒な渦が巻いていて
見ているとゾッとするような雰囲気がある。
バス停に辿り着いたとき、
黒猫が僕らの前を横切った。
そして、どこかへ走り去っていく。
「なんだか、不吉だなぁ…」
その独り言に答えるように彼女は
握る手に力が入った。
気になって彼女の顔を見上げ、
声をかける。
「…由花子、さん…？」
ら、ら、ら、ら おそろしや
くらいくらい こゑてこゑて
あ、あ、あ、あ にくきは かな
きないきない くるしくるし
あ、あ、あ、あ ふりむかむ
まよえまよえ し ・・・・
彼女が口ずさんでいたのか、
それとも、別の人間が口ずさんでいたのか。
近くで聞こえたようで、
遠くから聞こえたともとれる
その不気味な唄は
僕を怖がらせるには十分なものだった。
彼女の表情が、良く見えない。
何を考えているのか
僕にはまったく、分からなかった。
「・・・！
ごめんなさい、私ったら……」
「ううん、きっと疲れているんじゃあないかな。
今日はもう帰って、ゆっくり休んでね、」
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一番
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作者名：海 | 作成日時：2024年2月23日 14時
