独占欲【まふまふ】 (ページ30)

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ふたりでページ30

それから真冬の私に対する異常な束縛はなくなっていった

嫉妬深いところはあるけど

私のことを好きでいてくれてるのが実感出来てなんだか嬉しいくらいなのだ

「ねぇ、真冬」

帰り道をいつもよりゆっくり歩く

繋いだ手のあたたかさを少しでも長く感じていたい

「ん？」

優しい表情で私と視線を合わせる

「私ね、

真冬のことがすごく好きなんだあ

だから真冬が苦しいときは一緒に悩みたいし

嬉しいことがあったときは一緒に笑いたい

私、ずっと真冬のそばにいてもいいかな？」

こんなことを言いたくなるくらい真冬の存在は

触れたら壊れてしまいそうなほど儚く思える

儚くて弱い彼を、私が支えたいと思った

真冬は少し驚いた顔をした

それから泣き笑いみたいになって

「もうAがいなきゃ生きていけないよ」

そう私を抱きしめた

私も真冬の背中にめいっぱい手を回す

この温もりが離れていくことがないように

私だって真冬がいないと駄目だから

夕方と夜の間の不思議な色の空

曖昧なものは美しい

私たちの愛は美しいとは言えないかもしれない

でも…

「愛してる、真冬」

そっと唇を重ねた

「…足りない」

お互いの想いを確認するように

真冬からのキスの嵐を受け止めた

「愛してる」

誰よりも愛おしくて

誰よりも大切な人

依存しあった私たちの関係に簡単な名前は付けられないけれど

あなたの独占欲を私は受け止めつづける

Fin.