12-1 *上を向けば彩りが* ページ37
上を見上げれば、空中に広がる星達。
眼鏡を外した上杉は空を見て、目を細めた。
上杉の脳裏には星空などは写るまもなく、グルグルと渦を巻いていた。
出てくるのは、一人の少女。
その花のような笑顔を想像し、少し微笑む。
だが、上杉の脳裏にはその画像とは別に同じ彼女が発した言葉が離れていなかった。
《仲間として見て、性別を超えた一人の人間として扱ってほしいと思ってる》
凛とした瞳の彼女はそう言い切った。
なのに、上杉は
《最初に上杉くんが言ってたみたいに、私たちは、うまくやったってことでしょ、ね!》
そう言った彼女の微笑みに、惚れてしまう一方だった。
「はぁ」
小さくため息をつき、窓を閉め、ベッドの上に横たわる。
上杉は、悩んでいた。
このままでは、自分の気持ちを理性がセーブしきれずに、kzの調査に支障をもたらしてしまうのではないか、と。
いっそのこと、振られる覚悟で告白したほうがいいのではないか、と。
しかし、告白というものはどんな難問よりも難しいと上杉は考える。
これといった方程式も無ければ、実証結果もままならない。
「どうすればいいんだよ、俺は。」
息と共に吐き出した言葉は誰にも聞こえずに次第に空気に溶けていく。
その日、上杉はなかなか寝付けずに日が昇った。
日の光にやむ終えずに起きた上杉は、仕方なく支度をした。
学校に行っても、脳裏はグルグルと渦を巻いたままで授業もまともに受けられなかった。
下校時間、人がぞろぞろと帰るごろに上杉に声がかかった。
「上杉、どうかした?」
肩に重みを感じると、艶やかな瞳に悪戯な光を含めた少年が立っていた。
「別に…」
そっけなく答えると、「ふーん」となにやら考えていた。
「あ、アーヤのこと考えてただろ。」
思いついたように言う少年に対して
「はっ!?」
と、本心を突かれた上杉はただただ驚くだけだった。
「図星だろ。」
ニヤッと笑った少年。
「んなわけあるか…」
本心は、少年の勘のよさに焦っていた。
対人関係のエキスパートだからか?
ただ、俺が分かりやすかったってことも…
とさらに考える上杉を見て、フッと笑った少年は少し上杉を押す。
「ま、上杉が後悔しないようにしたら?」
そう言い残し、少年は教室から出て行く。
「全部お見通しってことかよ…」
上杉はこれからのことを考えるばかりだった。
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菊香(プロフ) - にーなさん» 遅れてごめんなさい!本当そうです!翼が出るか出るかと心待ちにしていたのに…残念でした…… (2017年10月18日 22時) (レス) id: aea442a5e9 (このIDを非表示/違反報告)
にーな - アニメに翼が出なかったのはショックですね(T-T) (2017年8月30日 17時) (レス) id: 839e9aa7fd (このIDを非表示/違反報告)
菊香(プロフ) - 美桜♪ さん» そ、そうかな?ありがと~♪美桜は、誰押し? (2016年3月26日 9時) (レス) id: 52fa666800 (このIDを非表示/違反報告)
美桜♪ - 菊香さん» いやいや…菊香でしょ!断然! (2016年3月23日 17時) (レス) id: 59f27b1e9c (このIDを非表示/違反報告)
菊香(プロフ) - 美桜♪ さん» 美桜(♪抜かして呼んでも、大丈夫?)の作品も、読んでるよ〜!いや、私のと比べたら、美桜の作品が上手すぎて… (2016年3月23日 13時) (レス) id: aea442a5e9 (このIDを非表示/違反報告)
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