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10-1 *初雪にキミと* ページ28

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口を開けば、出てくる白い息。




今年買ってもらったムートンブーツを履いて歩く。



周りを見れば、木の葉も落ち、どこか哀しげに見える。


少し、勉強の息抜きで出てきたけど…



「寒い…」

マフラーを巻きなおす。



そんな時、



「あれ、アーヤ?」



かかった声。




「小塚くん。」


いつも穏やかな小塚くんがいた。




「どうしたの?
こんな所で。」



聞かれて、少し悩んで答える。



「うーんと、勉強の息抜き。かな。」



小塚くんは少し先の公園を指差す。



「アーヤ、少し時間あるならちょっと話してかない?」




頷いて、並んで公園へと向かう。



少し、小塚くんを見て呟く。



「小塚くん、背伸びたね。」




私の言葉に少し照れるような表情をした小塚くん。



「そうかな?
何か、嬉しいな。」




そう?


不思議に思いながらも、足は勝手に進み公園に着いた。




ベンチに座ってなんとなく、空を見上げる。



「月だ…」



まだ昼なのに月が出ていた。


なんだか、三日月の反対のような形の月。




「小塚くん。なんていう名前の月なの?」




小塚くんは少し悩み、やがてこう言った。




「まだ、ちゃんとした名前は決まっていないんだ。
細い月、とか呼ばれてるよ。」




「そうなんだ…」



月を見ると、何だか寂しい気持ちになってきた。




「どうしたの?」


小塚くんの心配そうな顔を見て、急いで言葉を選ぶ。




「この月って、次は新月で消えてしまうんでしょ?

そう思ったら、寂しくなってきて…」





小塚くんは、少し笑った。



「アーヤ、そんな考え方するんだね。」



その言葉に私は不思議に思ったけど、何も言わなかった。



「僕は、こう考えるよ。

新月になるのは、新しい道に行く第一歩なんだって。


そうしたら、また次にも会えるから。




…って、新月は地球からは見えないだけで実際は消えてないんだけどね。」




そう言って笑う小塚くんを見ていると、ドキッと胸の鼓動が高まった気がした。





その時、空から白い物がハラリと降ってきた。




手で触ると冷たく、すぐに溶けてしまう。



「雪だ…」




小塚くんが呟く。




そう言っている間でも、空から降ってくる雪はなかなかやまない。









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10-2 【END】→←9-3 【END】



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菊香(プロフ) - にーなさん» 遅れてごめんなさい!本当そうです!翼が出るか出るかと心待ちにしていたのに…残念でした…… (2017年10月18日 22時) (レス) id: aea442a5e9 (このIDを非表示/違反報告)
にーな - アニメに翼が出なかったのはショックですね(T-T) (2017年8月30日 17時) (レス) id: 839e9aa7fd (このIDを非表示/違反報告)
菊香(プロフ) - 美桜♪ さん» そ、そうかな?ありがと~♪美桜は、誰押し? (2016年3月26日 9時) (レス) id: 52fa666800 (このIDを非表示/違反報告)
美桜♪ - 菊香さん» いやいや…菊香でしょ!断然! (2016年3月23日 17時) (レス) id: 59f27b1e9c (このIDを非表示/違反報告)
菊香(プロフ) - 美桜♪ さん» 美桜(♪抜かして呼んでも、大丈夫?)の作品も、読んでるよ〜!いや、私のと比べたら、美桜の作品が上手すぎて… (2016年3月23日 13時) (レス) id: aea442a5e9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:菊香 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2015年11月6日 21時

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