(kz story)...1

８-１ *真夜中にキミと* ページ23

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ガチャッ



扉を開けば涼しい風が吹き込んでくる。


サンダルを履いて歩き出す。



うっ、意外と寒いかも。



目の前を見ると大自然が広がっている。



いつもの生活では考えられない景色にまだ慣れないでいる私。




今日は浜田の宿泊学習で、森の方に来てるんだ。



で、現在時刻が十一時五十分。



私はなかなか寝れなかったから、すこし風に当たろうとホテルの外に出た。





…なんかこんな夜中に一人だと、この地球上に私一人しかいないという気持ちになってしまう。





その時、バサッと私の肩に何かかかった。




「え？」





びっくりして振り向くと暗闇の中に人影が見えた。






「だ、誰？」




恐る恐る聞くと、クスッと笑い声がする。







「さあね。誰でしょ。」






私は、その口調である人物が浮かんだ。



「翼、でしょ？」









「あ、分かった？」



声とともに暗闇の中から何度見ても息が止まりそうになる美貌が現れた。




翼は私の肩にかかっていた物をもう一度しっかりとかけた。



見ると、翼の上着。



「！
翼、風邪引いちゃうよ。」





急いで返そうとしたら、翼は拒否した。




「いいの。
大人しく着てよ。」





私は、素直に上着に腕を通した。









「それにしても、すごい綺麗な景色だね。」





翼はそう言って少し前に歩き、段差に座った。








「うん。」




私も翼の隣に座る。








「ほら、見て。」






翼はそう言って上を指差した。









見ると、普通の日常では見えないであろう





無数の星達が煌いていた。








「すごいね…」






私はそれしか言葉が出なかった。







一言ではこの感動を伝えられない気がして。









「あ！」





翼が突然大きな声を出したから私は驚いてしまう。








「ど、どうしたの？」






すると、翼は立ち上がって少し場所を移した。



私も翼についていく。






そして、翼は立ち止まりまた、上を指差した。




見ると、満月。







翼が静かに口を開く。




「Mois ll est beau(月が綺麗ですね)」



「え？」




翼がフワリと微笑む。









「フランス語。
アーヤなら分かるでしょ？」





《月が綺麗ですね》

その本当の意味は、聞いたことがある。





夏目漱石がある英語を訳した言葉なんだって。



その、英語は＿＿＿＿＿＿＿＿＿









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