ニセモノは……*63 ページ23
＿＿＿＿ずっと勘違いしていた。
突き落とされたとばかり思っていた。
けれど違う、突き落とされてなんかしていない。
「嘘はついてへんよ？突き落として“は”ないもん」
殴られたんだ。
階段に行こうとした私の腕を掴んで、私が振り返った時に何か固いもので私の頭を殴った。
その衝撃で階段から転げ落ちてしまった。
だから体の痛みの何倍も頭が痛かったんだ。………目の前の、この黄色の彼に。
「………あ、顔変わった。思い出したんじゃね？」
「ほんまに？思い出したん？」
きっと、体が覚えていた。
ずっと疑問に思っていた。倒れて目覚めたその日。
センラを見て謎に恐怖を感じていた。それは、センラに殴られていたから。
「………なんで、私を、殴ったの、」
「行くなって言ってんのにAが行こうとするからやん」
「……どうして、黙ってたの」
「別に言っても良かったんやけどねぇ、でもそれだとおもろないやろ？」
「昨日………昨日の、あの、涙は、」
あの涙は本物だと思った。
だから多数決でニセモノがセンラと決まった時もそこが気になってしまっていた。
でも消去法でセンラしかいなかったのだ。
私を倒れさせた犯人が、ニセモノだと思っていたから。
センラは「あぁ……」と呟いて、私の目を見る。
嫌だ、見ないで、やめて。
＿＿＿＿＿＿唇がさっきのうらたのように、三日月形に歪んだ。
「なかなかの迫真の演技やったやろ？」
「……っ、」
「結構うまく泣けたと思ったんよね〜良かったわ」
『俺な、誰がニセモノとか全然思いつかへんのよね』
『皆の事、信じたいんやけどなぁ』
全部、嘘だったというのか。
あの時の屋上でのやり取りも、全部全部嘘で。偽りだらけで。
( もう、嫌だ )
見つめてきたセンラの目には、光が無かった。
吐き気がする。
頭がぐちゃぐちゃで意味が分からない。
うらたはうらたじゃない。でもセンラもセンラじゃない。
なら、誰？誰が本当のニセモノ？
「ザ絶望！って顔やなぁ、可哀想に」
「ほんとほんと」
目の前で話す得体のしれない何か。
見た目は私の大好きな彼らなのに、中身は確実に彼らじゃない。
………さっき戻ってきた記憶。
センラに殴られ意識を失う瞬間、見えたのは黄色だけではなかった。
「………貴方もなの……？」
黄色のすぐ後ろに居てこちらを見ていたのは、紫。
「……志麻、」
お願い、違うと言って。
後ろ姿の彼の肩が微かに揺れた。
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菊香(プロフ) - Reigaさん» 返信遅れて申し訳ございません（ ; ; ）初のホラーに挑戦してみたのでそう言っていただけると嬉しいです〜！読んでいただきありがとうございました* (2021年6月14日 21時) (
レス) id: eddd78d9f3 (このIDを非表示/違反報告)
菊香(プロフ) - 恋羽音さん» 返信遅れてしまい申し訳ございません（ ; ; ）たくさん考えて読んでくださり嬉しい限りです！個人的に頑張って考えたお話だったのでそう言っていただけるとありがたいです(^^)読んでいただきありがとうございました* (2021年6月14日 21時) (レス) id: eddd78d9f3 (このIDを非表示/違反報告)
Reiga - スッッッゴイコワカッタ、、、面白かったです (2021年5月25日 22時) (レス) id: de484b603d (このIDを非表示/違反報告)
恋羽音 - 今更ですが、最初から一気に読ませて頂きました。伏線の敷き方がとても上手で、とても面白い作品でした！途中、「urtさんか？…smさんかも…」と悩んでいたのですが、ラストに全てひっくり返されました！鏡の世界のニセモノ、ホンモノというのがとても良かったです！ (2021年3月30日 18時) (レス) id: 018cf43ff1 (このIDを非表示/違反報告)
菊香(プロフ) - みほろさん» 半年遅れての返信本当に申し訳ございません（ ; ; ）たくさんの嬉しい言葉、ありがとうございます！とっても嬉しい限りです(*´艸`*)読んで頂きありがとうございました* (2020年12月28日 21時) (レス) id: c2572f788b (このIDを非表示/違反報告)
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