昔、隣の席だった君。 2 【skt】

となり*51 ページ9

「お疲れ様でしたー」



今日の分の仕事が終わり、いつも通り時間に帰宅する。





もう暗くなっている住宅街に入り、１人歩く。
その時、着信音が鳴った。


慌ててスマホを取り出すと、表示されていた名前はさかたんだった。
昨日のことと重なり、一瞬通話ボタンを押すのを躊躇ってしまう。

でも、うらたんが話してくれたみたいだし大丈夫だよね。



そう思って、通話ボタンを押しスマホを耳に当てる。





「もしもし。」


『…もしもし、急にごめんね。』


「全然大丈夫だよ。」




さかたんの声が昨日よりも機嫌がよく感じて、ホッとする。
でも、どこか緊張しているような。そんな感じがした。




『瀬川さん、今どこにいる？』

「仕事終わって家まで歩いてる最中だよ。」




それがどうしたの？ と聞こうとすると、家の前に人影があることに気づいた。
その人影は街灯に照らされて、夜の住宅街だからかより一層目立って見える。

……こんな夜に誰だろう。


街灯に照らされている横顔。



「え、なん、で……………」




その横顔は良く見知ったもので。
スマホを耳に当てたまま固まる。



数メートルの距離。




「突然来てごめんね。」


その人影が喋る。



『突然来てごめんね。』


数秒遅れでスマホから聞こえる同じ声。




人影は耳に当てていたスマホをポケットにしまい、歩いてくる。
ツー、ツー と音が鳴っているのに私はスマホをしまうことも忘れて固まって目の前の 彼 を見る。






「スマホしまったら？もう、電話切れとるよ。」


その言葉に我に返り、いそいそとスマホをバッグに入れる。




心臓が早まる。

なんで、彼がここにいるの。





「…………なんで、いる、の。」




震える声で問う。


そんな私に彼…さかたんは笑って言う。





「瀬川さんに会いたかったから来ちゃった。」

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