昔、隣の席だった君。【skt】 (ページ42)

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となり*42 ページ42

そう言われてみればそうだ。
私は短期間、こっちに来ているだけで。北海道に帰らなくちゃいけない。

さかたんが言ったとおり、今回私がこっちに来ている間で会えるのは今が最後だろう。

ううん、下手すればライブとか除いてこうして2人で会えるのも最後かもしれない。
そう思うと、より今までの時間がとても貴重だったのだと気づく。

「あっちゅー間やったなぁ。」

さかたんの呟いた声に私も頷いた。

「まさか、リスナーさんの1人が元同級生で、今こうして一緒に出かけてるとか思って無かったわ。」

「本当ね。私も予想もしてなかった。」

そう言ってお互いに黙って歩く帰り道。

私の泊まっている親戚の家までは、あともう少し。

「あ、ここだよ。私の泊まってる家。」

親戚の家の前につき、さかたんにそう告げる。

「瀬川さん、」

じゃあねと言って別れようとしたとき、名前を呼ばれた。

「これっきりではないから。向こうでも連絡してな？」

そう言われて微笑まれる。
純粋にその言葉が嬉しくて、満面の笑みで頷く。

「もちろん。坂田君、これからも頑張ってね！応援してる！」

さかたんは笑って手を軽く振る。

「瀬川さん、またね。」

「うん、またね。」

私もさかたんに向かって手を振り、家に入った。

………もう一回今日をやり直したい。
いや、同窓会の日からやり直したい。

……

なんて切実に祈っても、時間が巻き戻るなんて魔法が使えるわけも無く。

あれから5日後。
今日も仕事帰り、さかたんの歌を聞いて家に帰る。

そんな前と同じ日常がまた始まった。