昔、隣の席だった君。【skt】 (ページ32)

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となり*32 ページ32

「お、うらたさんや。」

さかたんの声に、やっぱりと頷く。

低音イケボ。
歌っている時の声と地声のギャップがあるうらたん。
もちろん、大好きだ。

目の前にいる男性を見る。
腰に緑のシャツを巻いているところから、やっぱり緑が好きなのかと心で納得する。
茶色の髪で、前髪は眉辺りで綺麗に切り揃えられている。
顔立ちはやはりカッコよくて。

…………歌い手さんって、顔面偏差値高いな。

「ども、うらたです。」

小さく会釈をしたうらたん。
その声は、いつもイヤホンを通して聞いている声のまんまで。

…というか。

「リアルの方が、イケボですね………。」

まぁ、一番はさかたんだが。
二番目はうらたんだろう。
さかたんは可愛いけれど、うらたんはカッコいい。

と、1人で舞い上がっていると挨拶もなしに心の呟きを声に出してしまったと気づく。

目を少し見開き、驚いている様子のうらたん。
思わず、焦ってしまう。

「あ、え、挨拶まだでしたごめんなさい!瀬川Aです。坂田君の元クラスメイトです。」

少し早口で自己紹介をすると、クスクスと笑い出すうらたん。

「ん、坂田から話は聞いてますよ。あと、そう言っていただけて光栄です。」

……笑い声までイケボだ。さすが声優。

お互いに、うらたさん瀬川さんと呼ぶことが決まった。

「じゃ、自己紹介も済んだところでどっか行く？」

さかたんの声に、頷く。

前を歩いている2人が仲良さそうに話している。にやけてしまいそうになり慌てて抑える。
てか、うらさかの2人と一緒にいる私って……すごいかも。
そう思うとテンションがあがってくる。

あ、ダメだまたにやけてしまう。

「どっか行きたいとこある?」

さかたんが私の方を見る。
必死ににやけを隠す。

「んー、どこでもいいよ。大体全部見たからね。」

「じゃ少し早いけどご飯食べに行くか。」

うらたんの声で、食べに行くことが決まる。

……正直胸がいっぱいであまりお腹空いてません。

けれど、目の前の焼き肉を見たらそんな心は消え失せた。