昔、隣の席だった君。【skt】 (ページ13)

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となり*13 ページ13

暖かな温もりが伝わってきて、全身の血液が駆け巡っているように感じる。

「今日のライブ、お疲れ様でした!最高でした!これからも………」

“これからも応援しています”そう言おうとした時、ギュッと手に力が込められた。

え、さかたん…?

不思議に思って、さかたんの方を見るとさかたんの瞳はしっかりと私を捉えていて。
形のいい唇から、ポロリという感じで言葉が発せられた。

「……瀬川、さん?」

初めてイヤホン越しじゃない、私自身に向けられた声は紛れも無く私の名字を発していた。

「え?なん、で……」

思いがけない言葉に、思わず聞き返す。

「そろそろ、時間があれなので……」

しかし、さかたんからの返事はスタッフさんの困ったような声で遮られてしまった。
手を見ると、まだ握手をしたまま。

「…!!すみません!」

パッと手を離して、急いでドアを開いた。
出る時、チラッとさかたんの方を見ると私の方を見ていて。
どうすればいいのか分からず小さく会釈をして、私はその場を後にした。

……

家に帰り、ベッドにダイブする。
目を瞑ると、瞼の裏にはしっかりとさかたんが映ってる。

『……瀬川、さん?』

そして、あの声も。
しっかりと鼓膜に張り付いている。

どうして、私の名字を知っていたのだろうか。
名字を知っているということは、名前も知っている?

名前は置いといて、名字をなんで知っていたのか。
瀬川という名前は佐藤田中鈴木などと違ってたくさんいるというわけでは無いと思う。
だから、当てずっぽうで言ったということは無いだろう。

だとしたら……。
どこかで会った?

そして、前にさかたんの声をどこかで聞いたことがあるような気がしたのを思い出した。
あれが本当で、どこかで会った事があるのだとしたら。

それは一体、どこなのだろうか。