昔、隣の席だった君。【skt】 (ページ1)

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となり*1 ページ1

[喋るよ！]

ピロンッとそんな通知が私のスマホに届いた。
通知は生放送を知らせるためのもの。

その生放送者の名前を見た瞬間、私は部屋で小さくガッツポーズをした。

「っしゃあ、さかたん生放送!」

小さくそう呟いて、早速アプリを開きスマホにイヤホンを差す。
そして、耳元から聞こえてくる声に今日も癒しを求めるのだ。

「今日はちょっとお知らせがあるんよ。
少し雑談したら話すからちょっと待っててな。」

その言葉に少し反応する。
お知らせ…CDとかイベントの情報かなぁ。

私、瀬川Aは大の歌い手ファンだ。
たいていの人は好きだけど、特に浦島坂田船が好き。

メンバーの仲も良くて、生放送も聞いていてとても面白い。
浦島坂田船のCDは全て持っている。

そして、その中でも特に好きなのは今生放送をしている…そう、となりの坂田。

もともと、私が赤が好きでイメージカラーが赤だったから、というのも１つ。
でも一番は、声。

笑ったときの特徴的な笑い声も可愛いし、歌声のかっこよさのギャップ。
ゲーム配信や生放送の喋り声がとにかくタイプ。
少し低くて、でもどこか特徴的な声で可愛い。そう、可愛いのだ。

今も耳元で笑い声が聞こえてきて、思わず口元がにやけてしまう。
…これが1人暮らしの部屋でよかった。
仮に電車の中なら、1人で勝手ににやけだしたら単なる変人になってしまう。
それはどうしても避けるべき。

まだ26歳。……20代後半になってきたけれども、不審者扱いは避けたい。

と、思いつつも口元が緩んでしまうのは不可抗力だと思う。
だって好きなんですもん。仕方ない。

そう思いながら耳に神経を集中させる。

「でな、今日コンビニに行った時……」

コンビニのエピソードにクスッと思いながら、毎回思うことがある。