君とイルミネーション hkin ページ10
ひかいの高校生パロ
*
修学旅行が憂鬱だ。
そんな学生いるのかって話だけど、実際ここにいるわけで、冗談でもなんでもない。
2年生に上がったタイミングで文系と理系に分けられるクラス。
仲良しの大ちゃんはひかると一緒に文系に行ってしまって、俺はただひとり理系クラスで数式と向き合うことになった。
もちろん、夢を叶えるためには理系を選ばなきゃいけなかったから仕方のないことなんだけど、学生時代の大イベント…修学旅行は、大ちゃんやひかると一緒に行きたかったな、なんて。
クラスに仲良い奴がいない訳じゃないけどそんなことをずっと考えてしまっていた。
特に、ひかるとは…高1の終わりに告白されて、付き合ってもう半年になるから、やっぱり一緒に思い出作りたかったなって。
ひかるは、「じゃあ夜間外出のときに合流しよう!」なんて提案してくれたけど、欲張りな俺は全部ひかると回りたかったなんて思うんだ。
…ま、修学旅行2日目が終わりそうな時に考えることじゃないけど。
2日目の夜は神戸のルミナリエっていうイルミネーションを見ることになっていた。
他の観光客も多い場所だからクラスごとにまとまって歩く。もちろんクラスを超えての合流は禁止。
実はひかるは、ここでも落ち合おうなんて提案してきていたんだけど…どうせ教師の監視が厳しくて無理だよ。
それに、ちょっと歩いただけでわかったけど…もみくちゃにされそうなほど人が多くて全然思ったように進まないし…
これじゃ、ひかると会うのなんて一億光年かかっちゃうよ。
「…はぁ」
ため息をついたら目の前の空気が白くなる。
指先も鼻先も冷たくて、マフラーに思いきり顔を埋めた。
かじかむ手でコートからスマホを取り出す。
いのおけいひかる、いまどのあたり?
少しすれば既読されたそれ。
光〇〇商店街ってアーケードのとこ!
その商店街のアーチが見えるのはだいぶ先だ。
やっぱり全然遠いや。
アーチ状のイルミネーションをくぐって歩く、ただそれだけ。
ルミナリエがどこからどこまで続いてるのかもさっぱりで、何も聞かされてない俺たちは教師の先導と前のクラスの後ろをついて一緒に歩いていくだけだ。
つまんない。
しばらくしてスマホが震える。
光なんか列崩れてきた!
光いのちゃんとこ行けそう!
え!?ひかるこのぎゅうぎゅうのとこに来るつもり!?正気!?
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作者名:みつあめ | 作成日時:2020年11月29日 0時