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『私達は…誰の物にもなりません』
「紅葉と同じことを言いよって…気に食わん」
『まぁ、紅葉さんも私なので……』
違いはあれど本当に私達は似通っている。食や人の好みも、多少のズレはあるもののほぼ同じだ。
まぁ、今後保留中になってる死刑が執行されるか、この身にかけられた呪いに殺されるか…どのみち死ぬのは変わりない。
その後は死刑になっても、呪いの所為で死んでも、目的さえ達成出来ていれば…まぁそれで───
「おい…おい、A」
『…あ、はい』
「俺と言う者が居ながら何を考えている?」
名を呼ばれ、ハッと顔を上げると至極不機嫌な顔をした宿儺さんが見下ろしていた。
この場合、誤魔化すと面倒だ。
『……私は、いつ死ぬんだろうなって』
「…死にたがりか?」
『そう言うわけではないですが……ただ、どっちなんだろうなぁって』
時々考えてしまう。
生まれながらにかけられた呪いで死ぬのか、呪術師に処刑されるか、呪霊に無惨に喰われるか。
それとも別の形で死を迎えるか。
別に静かに、眠る様に死にたいとは思っていない。
私はこれまで、前世からほぼ変わらない行いをしてきた。
そんな人間が……元から呪いから産まれた存在に安らかな死等訪れない。
「オマエは…本当に恐怖というものがないのか」
『…?ないですよ?他の恐怖なら多少有りますが…紅葉さんと一緒ならまったく怖くないです。紅葉さんと一緒なら別に何でもいい…一緒に死ねたら万々歳…?』
「なんと曖昧な戯言を…」
宿儺さんは酷く深いため息を吐き、呆れた様子でげんなりとした顔をする。
「オマエ達は相変わらず愚かだな…」
『えぇ、でも私達はそう言う存在です』
私達は、片割れだけでは成り立たない脆い存在。
2人で1人の存在として、そういう風にアイツに造られた。
今度こそ、紅葉さんと本当の意味で一緒なら何も怖くない。
恐怖の欠落は呪いの所為だけれど、怖くない。
むしろそれを望んでいる。
前世では出来なかった事を成し遂げる。
その意志だけがずっと私の中に残っている。
多分紅葉さんの、いやこれも紅仁さんの遺志なのだろう。
『それに、ただ何もせず死を待つなんてつまらないじゃないですか。だからそれに抗ってるだけ。死にたいとは思ったことはないですが、死ぬ覚悟は何時でもできていますよ』
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ユエ(プロフ) - シルクハットさん» シルクハット様、ありがとうございます!ゆっくりですが今後の展開をお楽しみください。 (2022年1月11日 12時) (レス) id: 25e139d61d (このIDを非表示/違反報告)
シルクハット - この作品大好きです!応援しております。 (2022年1月1日 10時) (レス) @page7 id: c50cd9efca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユエ | 作者ホームページ:http://id34.fm-p.jp/419/masatika8377/
作成日時:2021年12月3日 0時