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ええっ!?と皆が驚きの声を上げる中、Aは1人無言だった。
嶺二は彼女のその様子を見ていたのか、そっと近づいていく。
「ねえ。ライちゃんは気づいてたの?」
「まあ。もしかして、ってぐらいだけどね」
Aの居るところと彼らがカルタをしているところは、少し遠い。
ここからだと、何の字を取っているかもあやふやだ。
「もしかして……。ライちゃん、コンタクトしてる?」
嶺二の問いかけに、彼女はやや考えてからコクリと頷いた。
「……おい、見つけたかっ!?」
「無いよー!」
「どこでしょう……?」
その時、向こうが騒がしくなっていたことに気づいた。
どうやら、『う』のカードが無いらしい。
皆、必死に一枚のカードを探していたのだが。
「__あっ!」
セシルはパッと顔を輝かせ、一本の木にむかって走っていった。
それに気づいた来栖翔も、すぐに彼を追う。
『う』のカードは、木の枝にくくりつけられていた。
どうりですぐに見つからない訳だ。
Aはそう思いながら、セシルと翔を目で追う。
「これでわたしの勝ちです!」
セシルが木からカードを取った、その時。
「まあぁてえぇっ!」
バンッと思い切り助走をつけて、翔が木を蹴って登ってきた。
丁度バランスの悪い状態にあったセシルはその衝撃でよろめく。
「あわ、わわ……。っと、み、水ぅっ!?」
セシルは自身の下にあるものが大嫌いな水だった事に気づき、パニック状態に陥った。
彼は片足の指で必死に留まっていたが、やがて……。
「にゃー!」
変わった叫び声と共に池に落ちた。
セシルは池に落ちると、バタバタと手足を動かして叫んだ。
「おっ……。溺れっ……!誰かぁっ!」
「お前。そこ、足つくだろ……」
木の上にいる翔が彼に呆れたように声をかける。
セシルは叫んだ時に手を伸ばした状態で、水が膝にも達していない事に気づいた。
「みなさん酷いです。助けてと言ったのに……」
彼は言いながら横でビタビタと音がしているのに気づき、それを見た。
「にゃー!魚ー!」
彼はまたもパニックに陥り、「もう嫌ですー!」と叫びながら走っていってしまった。
セシルが池に落ちた辺りから笑い転げていた嶺二は、彼の行動に驚きの表情へ変える。
「愛島セシル。彼は砂漠出身だから、水と魚が苦手みたいだね」
藍の言葉を聞き、皆なる程という顔をした。
「愚民が」
と1人呟いていたカミュの目が光ったのを見ていた人はいなかった。
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十六夜星夜(プロフ) - 言音さん» ありがとうございます! 今直しました。 (2015年10月28日 21時) (レス) id: 03b61e41c3 (このIDを非表示/違反報告)
言音(プロフ) - 続き楽しみにしています。あのー、すみません、32話ならなくてが、なりにくてになっているみたいです (2015年10月28日 21時) (携帯から) (レス) id: 2111e957d4 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜星夜(プロフ) - 言音さん» 登録ありがとうございます! 今直しました。確かにその方が違和感がありませんね。ご指摘ありがとうございました! (2015年10月3日 11時) (レス) id: 97a18e3294 (このIDを非表示/違反報告)
言音(プロフ) - お気に入り登録させていただきました。続き楽しみにしています。あのー、文章なのですが、うかがってありますではなく、うかがっていますの方がいいと思います。突然すみません… (2015年10月3日 11時) (携帯から) (レス) id: 2111e957d4 (このIDを非表示/違反報告)
なまけ(プロフ) - 十六夜星夜さん» うん!!頑張って!!更新楽しみにしてまーすd(´▽`) (2015年9月30日 20時) (レス) id: a890b1cbfe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:十六夜星夜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/indigo09261/
作成日時:2015年9月29日 20時