６１話頼るということ ページ19
彼の出方を伺っていると、部屋の前で彼は立ち止まった。
「……知りたい？」
笑顔で私の顔をのぞき込んだ。
「いや、知りたくない」
嫌な予感しかないので、ついでにわかりやすく首を横に振って伝えた。
「知りたいんだね。Aちゃん」
いや、だから知りたくねーよ。
不機嫌な私の顔を見ても彼は話しをやめたりしなかった。
仕方ないなぁ。頼まれてもいないのに得意げな顔をしてそう言うと、彼は部屋の扉を開けて事の経緯を語りだした。
「…始まりは、あの人が僕達の写真撮っていたのを見つけたことから。
あ、Aちゃん お先にどうぞ」
「…」
「ほら、レディーファーストだよ。」
おませだなとか思いながらも、お膳立てやろうと笑顔でありがとうと言えば、野坂は心なしか嬉しそうだ。
彼に促されるまま、部屋に入って取り敢えず綺麗にされたベッドの上に座ると彼もすぐ横に座る。
「誰を撮っていたのかはAちゃんに言えないけど、すぐ盗撮だってわかった。その子の家庭事情は知ってたから、あの人が親じゃないのは知ってたんだ。
…他にも、その子の様子を遠くから見て、何かを書いてたりしててすごく怪しかったんだよ。
Aちゃん、本当に気づいてなかったの？」
だんだん声色が怒りが込められていくのが、聞いているとわかった。
余程嫌だったんだろう。
身近にこういうことが起きればそうなるのが普通…、なのかもしれない。
盗撮だなんて滅多にお目にかかるものじゃないからどうも言えないが。
「…全く」
「はあ、…Aちゃんってこういうことには疎いのかな？
…ずっと僕が守ってあげないと。」
疎いってなんだよとは言いたいが、実際興味関心のないことに鈍いのも事実で鈍感なのは本当だろう。
「守らなくとも大丈夫。
それより、どうしてあんなことしたの。悠馬くんが手を出さずとも、時間が解決してたはずでしょ？」
なかなか本題に移さない野坂に痺れを切らして、自分から尋ねた。
「…ねえ、どうしてあの時僕に助けを求めなかったの？」
いきなりぎゅっと私の両手を握ってぐっと顔を近づけてきた。
それはとても辛そうに、苛立ちを隠せない顔で訴えかけた。
「待ってたんだよ。
Aちゃんが僕を頼ってくれるの、待ってた。…友だちの僕を頼ってくれると思って」
「え、ゆ、悠馬くん！？」
「でも結局、自分から助けを求めなかったね…。」
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沙稀乃(プロフ) - 橋本アリィちゃんさん» ありがとうございます！(*´∇｀*)私の頭がポンコツのため、なかなか進みませんが、よろしくお願いします！\( ˙▿˙ )/ (2021年11月5日 0時) (
レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん(プロフ) - とても面白かったです！続きを待ってます！(*´ω｀*) (2021年11月3日 20時) (レス) @page40 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
沙稀乃(プロフ) - ピータンさん» コメ、ありがとうございます！！凄く面白いと言われて、もう既に心が有頂天になってるんでまともに返信ができませんが、本当に嬉しいです。ありがとうございます！更新のろのろですみません…！ (2020年8月21日 16時) (レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
ピータン(プロフ) - すごく面白いですね！これ野坂君がもっと大きくなったらどうなるんだろう？これからも楽しみにしてます！ (2020年8月21日 11時) (レス) id: d4faf78640 (このIDを非表示/違反報告)
沙稀乃(プロフ) - こさめさん» え！？本当ですか！！ありがとうございます！！コメント本当にありがとうございます！嬉しいです！ (2020年8月18日 17時) (レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：沙稀乃 | 作成日時：2020年4月12日 12時
