６９話毒される ページ27
数台の黒い車が去っていくのを笑顔で見送ると、どっと疲れが重くのしかかった。
嵐が過ぎ去った後の安らぎのひとときは紅茶とか飲んで優雅に過ごすのかもしれないが、何せ私は一般人。
今すぐ寝たい。ベッドにでも寝転がって今日のことを忘れたい。
英才こどもセンターの門の前に立って手を振るのをやめ、オレンジの空を仰いだ。
まあ、もちろん_
「ぐうぇ…っ」
「Aちゃん、どういうことかちゃんと説明してくれるよね？」
その欲求はすぐには叶えられないみたいだ。
たくさんのお菓子をお腹に入れているのに、後ろから私の腹をその愛らしい両腕でしめてくるその子は加減と言うものを知らないらしい。
ってか私何も悪くなくね？
「あれ誰？Aちゃんのことよく知ってるみたいだけど、親戚の人じゃないよね？
いくらお金持ちだからってあんな気持ち悪いおじさんを誑かしたら駄目だよ。」
まーた、誑かすとか難し言葉使ってる…。
あと気持ち悪いおじさんだなんて、ベルナルドの姿を見てないからか酷い言いようだ。
もしその姿を見ていたとしても、私の近くにいる人を忌み嫌うから似たような形容しかしないだろうけど。
「…あの人は私の両親が生きていた時から仲良くさせていただいている人なの。今回だってお忙しいのにわざわざここまで様子を見にきてくれたわけだし…」
飽きたのか野坂がようやく手を離してくれた。私の隣に並ぶともう遠くの方で他の自動車に紛れて米粒にも満たない黒いそれらをじぃっと見つめその灰色の瞳を濁らせた。
「…忙しい、ね」
あ、やばい。
これじゃベルナルドのフォローどころか、むしろその逆、野坂を滾らせたようなものじゃないか。
小さな頃から完璧な教育を受けられなかった。だから完璧な人間になれず、余裕ある生活が送れない。ネグレクトや虐待が起きてしまう。
そう主張する月光エレクトロニクスのために作られた英才こどもセンターの存在理由を思い出す。
ほんと馬鹿げた話だけど、隣の少年はそう思っていないのだから仕方ない。
ここにいる野坂悠馬は『忙しい』そんな理由で子供にかまっていられなくなる大人が大嫌いなんだ。
「悠馬く」
「Aちゃん。」
酷く落ち着いた声で私の名前を呼んで、その目をこちらに寄越した。
その目はいつも通りで、いつもと同じ笑い方だったが、向けてきた感情はどことなく違う。
「ねぇ、期待してもいいのかな？」
何をと尋ねる前に彼は言葉を紡いだ。
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沙稀乃(プロフ) - 橋本アリィちゃんさん» ありがとうございます！(*´∇｀*)私の頭がポンコツのため、なかなか進みませんが、よろしくお願いします！\( ˙▿˙ )/ (2021年11月5日 0時) (
レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん(プロフ) - とても面白かったです！続きを待ってます！(*´ω｀*) (2021年11月3日 20時) (レス) @page40 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
沙稀乃(プロフ) - ピータンさん» コメ、ありがとうございます！！凄く面白いと言われて、もう既に心が有頂天になってるんでまともに返信ができませんが、本当に嬉しいです。ありがとうございます！更新のろのろですみません…！ (2020年8月21日 16時) (レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
ピータン(プロフ) - すごく面白いですね！これ野坂君がもっと大きくなったらどうなるんだろう？これからも楽しみにしてます！ (2020年8月21日 11時) (レス) id: d4faf78640 (このIDを非表示/違反報告)
沙稀乃(プロフ) - こさめさん» え！？本当ですか！！ありがとうございます！！コメント本当にありがとうございます！嬉しいです！ (2020年8月18日 17時) (レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：沙稀乃 | 作成日時：2020年4月12日 12時
