蝶を待つ人【豪炎寺】 ページ23
俺が寂しい思いをさせてしまっているのだから、Aの浮気癖は仕方がないと目を瞑ってきた。Aが知らない男と抱き合っていても、キスをしていても、それで彼女の寂しさが満たされるのならと何も言わなかった。いつも最後には俺の元に戻ってきて、わざと他の男の匂いをさせながら「大好き」と笑顔を見せてくれるAが愛しかったから。だから俺は彼女を待ち続けることができたし、それはなんら苦痛なことではなかった。
彼女は例えるなら、まるで蝶のような人なのだ。気まぐれに連絡してきて会いたいとねだり、甘やかすと嬉しそうにすり寄ってくる。気分じゃない時はさっさとどこかに行ってしまうし、他の男と遊びたい時はふらふらとそちらに甘えに行く。「いつ会える？」なんて連絡が来たと思ったら、こちらが返信してもなかなかその返事をくれなかったり。反対に、すぐに返してくれたりもする。そんな掴みどころがない彼女が好きでたまらない。
前にそう惚気けたら、風丸には「重症だな」と苦笑いされ、鬼道は「まあ本人たちが幸せならいいんじゃないか、多分……」となんとなくフォローしてくれた。俺もそう思う。
そんな気まぐれな彼女に、久々に「会いたい」とねだられた俺は、誘われるまま家にお邪魔することになった。「誰もいないからくつろいでって」とAの部屋に通される。初めて来る彼女の部屋に、気持ちがそわそわとして落ち着かない。全体的にピンクと白でまとめられていて可愛らしい。ルームフレグランスだろうか、花の甘い香りがほのかにする。
「部屋そんなに見ないでよ、恥ずかしい」
「あ、すまない」
無意識に部屋を見回していたらしく、少し怒られてしまった。けれど俺の様子に気がつくとすぐに「そんな緊張しなくていいよ」と意地悪に笑ってみせた。
ぼんやりと立ったままの俺の横を通り抜け、彼女はベッドにちょこんと腰掛ける。そして可愛らしい笑みを浮かべながら、ぽんぽんと自分の隣を叩いた。来い、という合図だ。ああ、今日は甘えたい日らしいな。無言の指示通りに隣に腰掛けると、えへへ、と力の抜けたように笑ってから俺の膝に頭をごろんと乗せてきた。
彼女は俺の膝枕が好きで、甘えたい時はいつもこうやって膝枕をねだる。俺の足なんて固いんじゃないかと思いもするが、A曰く「ここが好きなんだから別にいいでしょ」とのことだった。俺としては一向に構わなかったので、それ以上何か言うこともなかった。
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＊IJu＊(プロフ) - これからもこっそり更新楽しみにさせて頂きます……！ (2021年11月4日 21時) (
レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - いつもこっそり更新を楽しみにしている者ですが、まさかの自分の最推しのお話が更新された事に興奮してしまい…コメント失礼しますorz偽薬さんの小説はどの子のお話も最高に最高で(語彙力)文章も素敵で大好きです…！！ (2021年11月4日 21時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
偽薬(プロフ) - 黄昏さん» こちらこそありがとうございます。黄昏さんのイラストですので、もちろん外部サイトに投稿していただいて問題ありません！ URL記載も任意で構いませんよ(^^) (2021年2月19日 17時) (レス) id: 21f878ceea (このIDを非表示/違反報告)
黄昏(プロフ) - 偽薬さん» ありがとうございます…！嬉しいです！描いたイラストなのですが占ツク以外にもTwitter等に投稿してもよろしいでしょうか？(URL記載致します。) (2021年2月19日 15時) (レス) id: 0afb2c72bc (このIDを非表示/違反報告)
偽薬(プロフ) - 黄昏さん» はじめまして、偽薬です。お褒めいただき恐縮です！ ファンアートの件、もちろん大歓迎です！ 楽しみにしてますね！ (2021年2月19日 3時) (レス) id: 2a0f159948 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：偽薬 | 作成日時：2018年10月18日 0時
