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芸能人とまではいかないが、それ相応のレベルの人間が日常に乱入してしまうと意外にも転校生特有の質問攻めなどは無くて、何の変哲もない1日を過ごした白石は帰りの準備をしていた。
と言っても初日で教科書もなにもなかった為、主に片付けるのは筆箱くらいなのだが。
いそいそと帰り支度を進める白石を、円堂は隣から見ていた。
「…」
『円堂くん?』
「えっ、あ、悪い!」
美しい横顔に見惚れていた円堂は声をかけられるまで見つめてしまっていたことに慌て、そのまま鞄を持って教室から出て行く。
どうしてあんなに慌てているのか、と白石はひとり静かに首を傾げてから、円堂の机の上の忘れ物に気づいた。
そこには汚れたノートがぽつり、持ち主がいなくなった机の上に置き去りにされてある。
『(…これ、円堂くんの?)』
中身を読んでみると自分には解読できない文字が書いており、思わず苦笑いを溢してしまった。円堂が出ていった扉を一瞥すると、ノート片手に円堂の後を追いかける。
初日とは言え学校の構造は大体把握していたので、生徒玄関に行くまで迷うkとは無かった。それでも彼の姿が見えない。
白石は急ぎ目に靴を履き替えると、外へ飛び出す。
『……いた!円堂くん!!』
サッカーの練習着を身に纏った円堂に声をかけると、彼は不思議そうな顔をして振り返る。
白石はその場に止まった円堂の元に駆け寄り『はいこれ』と先ほどのノートを差し出した。
『忘れ物。机の上に置きっぱだったよ』
「じーちゃんのノート!すっかり忘れてた…」
円堂は持っていたボールを片脇に抱え、白石からノートを受けとる。
「サンキューな、白石!!」
『あぁ』
「……今から帰りか?」
『特にすることもないしね。
帰ったら授業の復習くらい…_円堂くん?』
円堂は彼の手首を掴むと、歯を見せて笑った。
その笑みの意味が分からずにきょとんとす白石。
「サッカーやろうぜ!!!」
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作者名:-naki- x他1人 | 作成日時:2018年5月28日 20時