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家を飛び出したはいいものの
行く宛がない
スマホもお財布も全て置いてきちゃったし
家の近くの公園に入ってベンチに座った
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お兄ちゃん、追いかけてくれなかったな
少しは期待してたのに
あの日、お兄ちゃんに慰めの言葉ひとつ掛けられなかった私への罰なのかな？
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追いかけようとしたお兄ちゃんの腕を彼女さんが掴んで行かせないようにしたんだ
そこから喧嘩になって、別れることになった
なーんてうまい話ないか
漫画の世界じゃないし、ありえないな
お兄ちゃんに彼女がいるのも傷ついたけど
お兄ちゃんが私のことを気にしてくれなかったのにはもっと傷ついた
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いろんな考え事をしていたら寝ちゃってたみたい
もう真っ暗だ
私の心と同じくらい真っ暗
結局来てくれなかったな、お兄ちゃん
何してるのかな、お兄ちゃん
行く宛もないし、帰ろうかな
.
ドアの前に立つけど、開ける勇気がない
もし開けてまだ彼女さんがいたら？
そんな考えが浮かんでしまう
しばらく格闘した上、やっと開けたドア
.
音を立てないように家に入る
お兄ちゃんの部屋から微かに声が聞こえた
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作者名：いなりずし | 作成日時：2019年8月15日 22時
