疑問２０ ページ22
「待って下さい先輩！
届け物位私が…」
「五月蝿いぞ樋口」
背後から騒がしい声が聞こえた｡
「ポートマフィア!?」
「人虎!?何故此処に!!」
敦くんが勢い良く振り返る｡
同時に女性の声と冷たい金属音が響いた｡
流石。臨戦態勢が速い｡
ぱさり､
軽い何かが頭に置かれた｡
「この様な場所に寄るな。命が幾つあっても足りぬ」
呆れた様な掠れ声が静かに鼓膜を揺らす｡
芥川だ｡
…嗚呼、そう云えば此処はマフィア御用達の港の近くじゃないか｡
真っ黒な彼は耳元に寄って、私にしか聞こえない声量でこう云った｡
「異能は使いたくないのだろう？」
「！ 何で…」
「判るに決まっているだろう
どれだけ一緒に居たと思っている」
高圧的な態度で芥川は私を鼻で笑った｡
彼とは志同じ者同士よく集まっていた仲である｡
必然的に共に行動する時間が多かった｡
それもそうだ
と私は笑った｡
「マフィアはお前を歓迎する
だが、僕はお前を戻す心算は無い」
彼なりの優しさなんだろう｡
私を安心させようとしているのか饒舌になる姿はなかなか面白かった｡
「で、芥川
此処で何してるの？
指名手配犯でしょ？捕まりたい？」
「笑止
僕は用があって来たのだ」
頭の上の何かが退いた｡
「誘拐殺人を調べているだろう
先日話した構成員の資料を持って来た」
「あれ。
「…矢張り渡させる気だったか」
芥川の大きな溜息が零れる｡
渡された数枚の資料をその儘敦くんに手渡した｡
「僕を顎で使うのは首領と太宰さんとお前だけだ」
「うふふ
頼りにしてるよ」
「精々手早く解決するんだな」
芥川は満足そうにこの場を後にした｡
「却説… 新しい情報も入ったし、社で確認しようか！」
「これで事件に進展が、」
「無いだろうね
けど、情報はあるに超した事は無い」
市民の情報でも共通点は無かった｡
この資料から全員の共通点を探すのは先ず無理｡
プルル、プルルルル…
「あれ、電話…。国木田さんだ」
応答釦を押すと同時に大きな声が飛び出した｡
「ちょ、国木田さん
「あ、嗚呼すまない…
ってそれどころではない！
直ぐに社に戻れ!!今直ぐだ！」
「何でです？」
次の言葉で、私は大きく目を見張る事になる｡
「事件の情報提供者が現れた!!」
燦々と輝く日の光が広大な海を照らしていた｡
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mikuota - 布団で見ていてめっちゃ声も出ずに泣きました青の時代の初見時ぐらい泣きました。自分で言うのも何ですが，涙腺硬い方でして夢小説でこんな泣いたの久々でした。書籍化しないかな？とか思いました。追伸お身体に気をつけてお過ごしください。 mikuota (2023年3月29日 21時) (
レス) @page49 id: 7a0513a200 (このIDを非表示/違反報告)
陽毬 - 読みながらボロボロ泣いてしまいました。芥川しかり、誰かに認めてもらおうと無茶をする子が大好きです。間接的に兄のせいで死ぬならまたそれも良しみたいなスタンスが少し太宰さんに似ていて、兄妹感があって良かったです。ありがとうございましたm(_ _)m (2022年7月29日 21時) (レス) @page47 id: 22cb640d25 (このIDを非表示/違反報告)
黒いオルゴール - 屡亜さん» 一年以上も放置してしまい、申し訳ありません。兄弟がいない人にも楽しんでいただけるのは喜ばしいです！忙しさも落ち着いてきましたので、新作を考えています。案なら沢山あるんです (2020年10月17日 5時) (レス) id: 0d8fff5907 (このIDを非表示/違反報告)
黒いオルゴール - あずきさん» 一年以上も放置してしまい、申し訳ありません。本日エピローグを投稿させていただきました。今更更新しても、という気持ちがありましたが、コメント欄の大好きというたった一言で、書き上げる決心をしました。本当に有難う御座います。 (2020年10月17日 4時) (レス) id: 0d8fff5907 (このIDを非表示/違反報告)
屡亜(プロフ) - とっても好きです！ 私には兄弟がいないので読んでいて楽しいです。 忙しいとは思いますが、頑張ってください (2019年2月9日 16時) (レス) id: 42be0d16b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒いオルゴール | 作成日時：2017年8月22日 1時
