泣きっ面を蜂に刺されてできた傷口に塩を塗る（５） ページ13
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『リトル・ジョンと遊んでたらいつの間にか衣装がなくなっててな〜！』
そう、おちゃらけて話すのはKnightsの元王さま、月永レオ。
今私が満身創痍になった元凶。
「次から気を付けてくださいね。(にっこり)」
疲れが顔に出ちゃってるから早いところ開放してくれ…。
凛月「あ、そうだ。一個隣のスタジオで衣装関係のトラブルが起きてたみたいだからちょっと今から行ってきてあげてよ」
「げ、」
月永くんの後ろからひょっこり顔を出したのは最近の天敵である、凛月くん。
凛月「えー？仕事なのに困ってるアイドル見捨てるんだぁ？」
「はいはい、行きますとも…」
本当の本当の本当の本当は今の話ぜーんぶ聞こえなかったことにしたかったけれど、確かに自分の仕事を放棄するのは良くないし、私が行かなかったことで大変な事態が起きたなんてことがあった日には罪悪感に苛まれてESに来れなくなってしまう。
それに、もしかしたらもう解決したかもしれないし、解決していなくともちょっと手直しをするだけで一瞬で済む話かもしれない。
でも、今日はどうやら不運に見舞われる日らしい。
既に2か所のトラブルのためにES内を駆けずり回った運動不足の重いからだを引きずりながら隣の部屋へと向かう。
あー…こういう時のためにジムにでも通って体力付けておくんだった…。
大神くんの地獄の特訓で紙っぺらみたいにヘロヘロになった時も思ったはずだけど、どうしても自分から運動するのはハードルが高くてついサボっちゃうのを現在進行形で後悔している。
『あ！救世主が来てくれた…！』
「………え？」
部屋で待ち受けていたのはTrickstarの皆様。
救世主云々のセリフはスバルくんのものだ。
そしてドアを開けた瞬間に“後悔”の二文字が浮かんだ。
見渡す限り衣装が散らかされている。
次のライブで使う衣装でも決めていたのだろう、この期に及んでも北斗くんは衣装をひっくり返して更に散らかす方向に動いている。
そして何より、
『わー！！！こっちに来ないで！！！』
『ゆうく〜ん！なんで逃げるの〜？』
部屋の中を走り回るゆうくんこと遊木くんと、厄介者の瀬名くん。
KnightsとTrickstarの使う部屋隣にした人誰！！！！！！！！
この感じだと一筋縄では今日の仕事は終わらせられなそうだ。
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作者名：小野屋 | 作成日時：2021年2月6日 18時
