検索窓
今日:13 hit、昨日:16 hit、合計:8,295 hit

新しく芽生えた夢(4) ページ39

.









__________ふぅ、


緊張で早くなる心拍数を落ち着けるように短く息を吐く。


これから目の前のステージにRa*bitsが登壇する。


会場が大きくて気付かれにくいとはいえ、押し出されて気付いたら真ん中より前の方に来てしまっていた。


仁兎くんが気付きませんように。


ちーちゃんに合わせて服装を決めたとはいえ、Ra*bitsのイメージカラーは水色。瀬名くんのミルクブルーとほとんど変わらない。


気付かれたらやばい。


仁兎くんが私の姿を見たら私がRa*bitsのファンだということを察すると思う。


それだけは回避しないといけない。


もうフラれていはいるけど、これ以上距離を取られたらと思うとしんどい。


せめて友達には戻りたい。


そのためには絶対にバレちゃいけない。


「ね、後ろの方行かない…?」


チヒロ「うーん…入場規制かかってるっぽいから動くのは難しそうだね…途中で抜けるのも難しそう…」


近くにいるのは恐らくRa*bitsのファンだと思うから声のトーンをギリギリに抑えて会話をする。


やっぱりそうだよね…


そんなに身長は高くない方だから気付かれない…よね。


__________きゃああああああああ!


不安でぐるぐる考えてるうちにもう始まってしまう。


意を決してグッズのタオルを握りなおした。


なずな「みんなー!元気だったかー!」


創「お花の妖精と一緒に遊びましょう!」


光「衣装はに〜ちゃんの案なんだぜ!」


友也「今日はみんな一緒に楽しみましょうね!」


ぴょん、と一斉に登場する。


衣装は…お花の妖精をイメージにした羽のついたもの。


か…かわいい…。


でも、それと同時にステージに4人が並んでいる光景はものすごく遠く感じられた。


そりゃそうだ。一般人とアイドルもとい芸能人。


たまたま同じ大学だっただけでその間には大きな壁がある。


一緒にタルトを食べに行ったこと、一緒に学園祭を回ったこと、告白して振られたこと…全部が夢だったかのよう。


逆戻りするどころか本当に好きなのをやめられそう。


あんなに好きだったのにね。


でも、そんなことより今は舞台衣装への興味で頭がいっぱい。


帰ったらサークルの先輩たちに相談して特訓させてもらおう。


舞台衣装制作のアルバイトがあったら応募してみよう。


Ra*bits以外のユニットの衣装も色々調べてみよう。


舞台衣装を作りたい。


舞台でキラキラ輝くRa*bitsを、仁兎くんを見てそう決心した。









.

新しく芽生えた夢(5)→←新しく芽生えた夢(3)



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (10 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
16人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

この作品にコメントを書くにはログインが必要です   ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:小野屋 | 作成日時:2020年5月28日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。