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水色の学園祭(4) ページ29

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そんなこんなでとうとう学園祭の初日を迎えた。


仁兎くんと一緒にまわる約束をしたのは最終日。


私が仁兎くんのことが好きだというのはサークルの中で周知の事実となっているみたいで今日もちらちらと私の様子をうかがってくる人がちらほら。


むずがゆい。


私が最終日に約束しているからなのか、最終日のシフトをまるまるカットしてある代わりに初日と二日目は休憩時間以外はずっとブース配属になっている。


先輩曰く「一女(いちじょ)(一年生の女の子)は集客率がいい」んだとか。


なんでかは教えてくれなかったけど。


というわけで今日は朝から作った商品を並べたり、ブースを運営するのに必要な道具をセッティングしたりとバタバタと動き回っている。


ちなみにあれだけぬいぐるみ班を離脱したがっていたまるちゃん先輩は結局ぬいぐるみ班の中で一番多くの作品を生み出し、今日はヘロヘロになっていてブースに置いた机と椅子で今にも溶けそう。


今年は一年生だからと一番楽(とはいえ徹夜して倒れたりもしたけど)な羊毛フェルト班に配属だったけれど来年以降もしかしたら他の班に移動になるかもしれないと思うとぞっとする。


『Aちゃん!この辺の箱にキーホルダー詰めておいたからここから補充してね!』


「はーい!ありがとうございます!」


二日間とも私のお仕事はブースで商品を販売すること。


他には最後尾の札を持つ係やブースの宣伝のチラシを配る係、移動販売をする係などブースの外に出て炎天下の中仕事をする係が多いから多分私の係が一番楽ではあると思う。


これも一年生特典だってまるちゃん先輩が言ってた。


かく言うまるちゃん先輩は一番商品制作に貢献したとのことでブース常駐の商品補充係を任命されている。


仁兎くんと最終日に学園祭をまわるのはもちろん楽しみだけど、このブースでのお仕事は高校の文化祭みたいですごくワクワクしてる。


今日はちーちゃんが来てくれるって言ってた。


「ふふ、」


『なに?また好きな人思い出したの?』


「違いますって!今日は友達が来てくれるんです!」


もう、すぐそうやってからかってくるんだから。


『もうお客さん入ってきてるって!宣伝部隊と移動販売部隊、出陣するよ!』


少しだけ緊張が走る。


リアルな話、ここで利益を出せないと赤字まっしぐら。


売れてくれないと困るっていうのもあるけど、自分が作ったのが売れ残るのはだいぶ悲しい。









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作者名:小野屋 | 作成日時:2020年5月28日 17時

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