タルトデート(１) ページ21
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遂にこの日を迎えてしまった。
普通に学校が始まり、ちーちゃんに私の様子がおかしいことがバレて仁兎くんとのことを全部吐かされた。
どうやら私はものすごくわかりやすいらしく、仁兎くんを見かけるだけで急に挙動不審になったり、仁兎くんと話すのがぎこちないのが決め手だったんだとか。
それからというもの、洋服や靴、コスメを買いにちーちゃんに連れまわされ、随分と気合が入った見た目になってしまった。
普段こんなに可愛い靴も服も着ないからものすごくソワソワする。
今日仁兎くんに会った時ものすごくいつも通りだったけどタルト食べに行くの今日であってるよね？なんていって何度もラインの履歴を確認したし、ちーちゃんに挙動不審すぎだって笑われた。
そもそも男の子と二人でおしゃれなお店に行くこと自体初めてなのだ。
私の実家の近くにはおいしいお団子屋さんならあるし、そこなら学校帰りに寄り道して食べたりしてたけど、友達のお父さんのお店だし、デートで行くようなところでもない。
あぁ、今回のこれはデートじゃないんだってば。
デートじゃないんだから。衣装直したお礼に美味しいタルトをご馳走してくれるだけ。
お礼にお団子おごってもらったことなんて数えきれないでしょ。
自分にそう言い聞かせながら待ち合わせ場所へと向かう。
大学で最後の時間同じ授業は受けてたけど、スキャンダル対策であまり人通りのない通りまで各自で行ってから待ち合わせすることになってる。
あぁ、胃が痛い。緊張する。
好きなアイドルと二人でタルトを食べれるなんてどれだけ得を積んでも普通はできない。
たまたま同じ大学でたまたま好きになったアイドルだったけれどもう私は沼を抜け出せなくなるほど深いところまで足を突っ込んでしまっていた。
アイドルは底なし沼だ。
なんなら仁兎くんに関してはプライベートでも私を好きにさせるのだからずるい。
仁兎くんは大学進学のためにアイドルはお休み中だからメディアで見かけることは少ない。
だけど大学に行けばそのアイドルを見ることができる。話すことができる。
こんなに幸せなことがあっていいのだろうか。
待ち合わせ場所についた。
誰もいない。
「ふぅ、」
一息つく。
私が仁兎くんが好きなことは絶対にバレてはいけない。
今日は「大学の同級生」と美味しいモノを食べに行くだけ。
それ以上でもそれ以下でもない。
『おまたせ！』
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作者名：小野屋 | 作成日時：2020年5月28日 17時
