だってバカだろ? ページ44
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「ゲームで失敗したらしいんです…」
ドアを開けた後の光景は、想像よりもずっと悲惨なものだった。
ボーシヤの遺体を中央に置いた会議室。
アンを連れてきたタッタくんは困惑したように言う。
ボーシヤとゲームと失敗。
その3つの単語が結びつかなくて静かに混乱した。
きっと、それは他のメンバーも同じで。
部外者であるはずの私が部屋の中にいる事に誰も言及しないのがその証拠だ。
聞けば、タッタくんたちが偶然発見したのだと言う。
左胸には銃痕。
アンが触れようとすると、散弾銃を抱えたニラギが含み笑いで脅す。
「おっと、気軽に触れるなよこの解剖マニアが」
武闘派を連れていけば死ぬことはなかったのに、といつまでも挑発するニラギ。
一歩下がったところで見ていると、チシヤとアリスが顔を見合せて首を振った。
「…次のリーダーはナンバー2の私だ」
重い空気を切り裂くように、ミラが他言無用を宣言した後、クズリューがそう告げる。
それを許さないニラギが案の定彼に突っかかり、「1番強い方がリーダーなんじゃねぇの」と言う。
…まずい。
このままでは武闘派連中が政権を握ってしまう。
アグニをリーダーに推し始めた武闘派が、反応の悪いカルト派に苛立ち始める。
ふとアイコンタクトをしたスキンヘッドの刺青男が、長い刀を抜いてアンに突きつけた。
「…大将がいい人?」
異様な雰囲気だ。
多数決なんかじゃない、こんなの。
静かに手を挙げたアンに釣られるように、次々と賛成の人が出てくる。
アグニは相変わらず何を考えているのか分からない顔をしてじっと虚空を見つめていた。
何を思ってアグニが私をここに呼んだのか。
検討もつかないまま、ニラギがチシヤに呼びかけた。
「お前は?」
静かにチシヤと目が合う。
何故この2人は何かと険悪ムードなのだろう。
とは言っても、実際にイラついているのはいつもニラギで、チシヤはそれを小馬鹿にするばかり。
私の考えを引き継ぐかのように苛烈な争いが繰り広げられる。
「てめぇまた小馬鹿にしやがって」
チシヤ、と小さく後ろから呼びかけると、ふ、と笑ってからニラギに言い放つ。
「だってバカだろ?」
一拍置いたニラギが掴みかからんとする。
呆気に取られた私は、「いい子にしてろって言ったのはチシヤなのに…!」と小声で非難した。
一瞬こちらを見たニラギが私を目視し、いいカモを見つけたというように散弾銃をこちらに構える。
また脅しが始まるのか、と顔を強ばらせると、
「アグニがリーダーに賛成」
軽く手を挙げたチシヤが薄く笑い、賛成に投票した。
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みりん(プロフ) - はーとさん» わぁ嬉しいです( ¤̴̶̷̤́ ‧̫̮ ¤̴̶̷̤̀ )! 褒め方が上手すぎて更新意欲が止まりません!笑 今後ともよろしくお願いします! (2023年1月26日 2時) (レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
はーと(プロフ) - みりんさん» 本家のストーリーもありつつチシヤとのシーンがオリジナルで加えられていて最高です✨️✨無理はせずにこれからも更新お願いします🙇♂️これからも読ませていただきます^^ (2023年1月25日 17時) (レス) id: f292a3492c (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - そらのさん» 嬉しいです…!止まらなくて、気づいたらもう移行なのですが最後まで付き合ってくださるとありがたいです՞・֊・՞! 更新が捗ります🫶🏻 (2023年1月25日 4時) (レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
そらの(プロフ) - 主様の小説本当好きです!チシヤの小説少ないのでこの作品が楽しみで仕方ないです!更新楽しみにしております! (2023年1月25日 4時) (レス) @page47 id: 17ad6f88d5 (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - はーとさん» 嬉しいコメントありがとうございますꈍ .̮ ꈍ こういうコメントのおかげで更新する気力が湧いてきます!今日も頑張りますね💪🏻( ¤̴̶̷̤́ ‧̫̮ ¤̴̶̷̤̀ ) (2023年1月25日 3時) (レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みりん | 作成日時:2023年1月18日 5時