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朝練が終わったバスケ部一同は1年生の階の廊下を歩いていた。
「それにしても黒子が女子と知り合いだとは…」
まるで感心したように日向は声をもらした。
「彼女とは同じ中学です。それに元バスケ部マネージャーでした」
少しの沈黙の後、黒子以外の皆が驚いた声を上げた。
「ちょっと黒子くん、そういうのは早く言いなさいよ!」
プロレス技の一つや二つキメそうな勢いで詰め寄るリコを日向が慌てて止めに入った。
「まぁいいわ。そんな優秀な人材なら、ぜひバスケ部に入ってもらいたいわね」
帝光出身のマネージャーともなれば優秀であることはほぼ確定。
リコは口元が緩んで仕方なかった。
「…ですが、やってくれるという保証はありません」
「それってどういう__」
一瞬表情を暗くした黒子を見て、リコが問いただそうとした。
だが、最後まで言えずに終わった。
「着きました。ここです」
そう言って黒子が指した先の教室を全員が我先に見ようと、出入口の一つをバスケ部が占拠した。
教室の中は至って普通、どこにでもありそうな平凡な教室の雰囲気。
挨拶を交わしたり、読書をしたり、話したり…。
各々がHRまでの時間を自由に時間を過ごしていた。
「おいおい、黒子が言ってた子ってどれだよ?」
小金井が全員の言葉を代弁するような口振りで言った。
「あそこの女の子たちが溜まっている中心にいる人です」
教室の一箇所に溜まっている女子の中心で椅子に座って話している人物に視線を向けた。
誰がどう見ても、その女子たちが彼女と話すことを目当てに集まっているのは一目瞭然だった。
「…よし、小金井くん行ってきて!」
明らかに女子集団の話が盛り上がっており、バスケ部の誰もが行きたくないと考えていた。
もちろんリコもその一人であった。
「はぁ!?なんで俺!?」
名指しでご指名された小金井は不満そうに言った。
「なんでって小金井くんが言い出しっぺでしょ。だったらつべこべ言わずに勧誘しに行きなさいよ」
そう言われた小金井は文句を言いつつも教室に入り、勧誘しに行った。
残ったメンバーは陰ながら小金井を見守る。
「…なんかだいぶ盛り上がってないか?」
女子集団の中に入っていった小金井の声は聞こえないが、女子たちの会話に入って楽しそうにしていた。
黒子はなにか思い出したようにリコに伝えた。
「カントク、ひとつ伝え忘れてました」
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作者名:パナカ | 作成日時:2024年1月4日 21時