第16話 想いを詩にのせて ページ18
○月×日
今日は昨日と違って寒いですね。
紳士さんは、風邪とかひいてはいませんか?
○月×日
お気遣いありがとうございます。
いえ、私は大丈夫ですよ。
体調管理にはお互い気をつけましょう。
明日は雨が降って
急激に温度が下がります。
「……なんじゃ、つまらん日記やのう。」
パラパラと日記をめくり
ため息をつくと柳生に返した。
柳生は眉間に皺を寄せ、
勝手に見ないでください!と、一喝した。
「つまらないもなにも、
日記とはこういうものであって、
楽しく書くとい決まりはありませんよ?」
「じゃからつまらんと言うとるきに、
そんな概念にとらわれるからつまらん。
ほれ、こうしてみんしゃい。」
仁王は柳生の手からペンをひったくると
勝手にノートに書き出す。
「ちょ、ちょっと仁王くん?!」
「さーて、部活に行くぜよ。」
仁王はその“何か”を書くと、日記を本棚に戻し
柳生を立ち上がらせると、
図書室の外まで誘導した。
「な、なんで書いたんですか?!」
「さーのう、明日になれば分かることぜよ。」
仁王は不敵な笑みを浮かべる
私は、彼、「紳士」さんに対して
初めからあまり警戒していない方だった。
字体、言葉遣いからでしか分からないが、
彼は本当に「紳士」な人なのだろう、と。
○月×日
私の敵なのは、貴方の名前だけ。
嗚呼、愛しの貴方は
どうして私を見てくれないのでしょうか。
毎晩をあなたを思うと胸が苦しく、
月を見れば涙が流れてしまいます。
出来ることならば、この狭い世界から抜け出し
あなたと共に歩んでみたいと思うのです。
○月×日
紳士さんはポエムを作る人なんですね。
正直、意外でした。
でもそれは、人それぞれなので
趣味に対して私は問いませんので。
「____て、仁王くん!
あなたはなんてことやらかしたんですか!!」
柳生は仁王を睨みつけるが、
当の仁王は腹を抱えて、
見たことないぐらい大笑い。
「これで楽しくなったじゃろう?」
「楽しく、じゃ、ありませんよ!
私は一度もポエムなんて書いたことありませんし、
彼女、かなり引いてるじゃないですか!!」
「なら、そこまでの女じゃな、そいつは。」
「失礼なこと言わないでください!
第一、なんでロミオとジュリエットと
かぐや姫が混ざっているんですか?!」
「プリッ」
『儚い想い』
それは、かぐや姫もロミオとジュリエットも
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作者ホームページ:なし 作成日時:2015年10月25日 21時