【A3!】天才ちゃんの化けの皮。2nd

#83 ページ38

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Sumeragi side.






「あぁ、天馬くん。新しい映画の出演が決まったんだってね？おめでとう。」





「あ、ありがとうございます…。」





「こっちに帰ってきてみたらびっくりしたよ、こんなに大きくなってるなんてね。
少し、研究してみてもいいかな？髪の毛一本でいいんだけど。」






「孝太郎さん…怖いです…」






俺は今、何故か孝太郎さんを目の前に紅茶を飲んでいる。
静かなバーで、何故この人を前にしているのかはわからない。
というか、なんで俺はバーで紅茶なんて飲んでるんだ…！







「ところで、Aは他の男に何もされていないか？あの子はかわいいから、すぐ手を出されるのではと心配で…！」






「大丈夫ですよ孝太郎さん…そんな節操ない奴らじゃないんで…」








孝太郎さんとは、幼い頃からの付き合いだ。
Aの両親が化粧品メーカーを立ち上げているから、その関係で何かと接することが多かった。






すらりとした体型に、淡いピンク色の髪の毛。
顔も恐ろしく整っていて、黙っていれば王子様みたいな人だ。
…ただ、シスコンが酷くあまりにも変人。







「で、今日はなんか用でしたか？俺を誘ってくるなんて…」






「あぁ…俺としたことが、つい話し込んでしまったね。なんせ、天馬くんとは何年もゆっくり話していないから…気になってしまって。」









ふわりと微笑んだ孝太郎さん。
…目元、やっぱりAに似てるんだよなぁ。







「本題はAのことなんだけど。」






「あんた本当にブレないですね…」







赤ワインを一口飲み、孝太郎さんは続ける。







「…今、あの子に頼れる奴はいるのか？あの劇団に。」






「え…。」







急に真面目な顔になった孝太郎さん。
問いかけられた質問は、予想もしていないことだった。







「…天馬くんは、強いAしかしらないんだね？その調子だと。

あの子は、本来は物凄く弱い子なんだ。
泣き虫で、繊細で、か弱い。けど、気丈に振る舞うことが上手い。

世間から、Aは天才だと言われてるみたいだけどそれは違う。あの子は秀才ではあるけど、天才ではないんだ。」







「は…？」






思考がおいつかない。
そんな俺を無視して、孝太郎さんは続けた。






「俺が日本にいた頃までは、あの子を甘やかすのは俺の仕事だった。基本的には外では気を張るからね。


…だから、今あの子にそんな相手がいるのかが俺は心配なんだ。」






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