【A3!】天才ちゃんの化けの皮。2nd

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おけいこしよ？
そう斑鳩さんに言われて連れてこられたのは、誰もいない静かな稽古場。






斑鳩さんは、薄めのマットレスを持ってきて鏡の前に敷いた。
え、まって…？まさかとは思うけど…。







「じゃあ、まずはAがオレで遊ぶところから始めよう〜！」





『え"？！』








:::







…まずい、今の状況は本当にまずい。






『斑鳩さん…、やっぱりここまでしなくても…！』





「んー？…でも、おけいこでできないことは、本番でもできないよ…？
おけいこ、大事だから。」





『それは…そうなんですけど…！』





「…ほーら、Aちゃんとする。Aが演じる女の人は、オレを魅了して、誑かすんでしょー？」





『っ…』









小さめのマットレスに、斑鳩さんによって縫い付けられる。
私の顔の横に肘をついて、顔を寄せてきた。








〈ねぇ…Aさん…。〉






斑鳩さんの口から発せられたセリフに驚く。
だって、この芝居にセリフはないから。






動揺してしまい、斑鳩さんの顔をみる。
すると、切なげで、それでいて熱情や色気を含んだ表情をしていた。
ああ…斑鳩さんは、私がやりやすいようにセリフを添えて、シナリオを創ってくれているんだ。









《…なぁに？三角くん。》







私がそう言うと、斑鳩さんは一瞬だけ満足そうに笑った。
そして、私の首元に口を寄せ、リップ音を立てた。







〈…好き、Aさん。〉






《…嬉しい、三角くんみたいなカッコいい子にそんなこと言ってもらえて。》







斑鳩さんのサラサラとした青い髪が、頰を擽る。
そして、斑鳩さんの片方の手が私の腰を撫でる。







《…っ、ダメだよ、三角くん。今日は…だめ。》






〈もう…我慢できない。〉






そういって、斑鳩さんは私の耳についていたサンカクのイヤリングに唇を当てた。









:::








最初は恥ずかしかったお芝居だったのに、気がついたら深夜12時を回っていた。
それほど、夢中になってお芝居をしていた証拠。







稽古をする前は、ぼんやらとしかなかった曲のイメージ、登場人物の心情。それらが、嘘みたいに私の中に入ってきた気がする。







『斑鳩さん！こんな時間までありがとうございました…！
おかげで、だいぶ掴めました！』






「ほんとっ？よかった〜！オレも、楽しかった！またおけいこ、しよ？」









…斑鳩さん、やっぱりすごい人なんだなぁ。







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