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「天才少女、由井A。」
土井さんは、不満げに呟いた。
それは、由井さんが声優としてデビューしてからもたまに使われていた言葉。
…たしか、役者になってからは増えたような。
「あの子は器用で頑張りやさんでした。
…けど本当は、人一倍泣き虫で、負けず嫌いで、繊細なんです。
高い演技力は血の滲むような練習の賜物。
優れた学力は一生懸命こつこつしてきた勉強の賜物。
…あの子は確かに器用な子です。けど、天才じゃない。」
「由井さんが…天才じゃない…？」
土井さんの発言に驚いてしまう。
…由井さんが貶されたりすることはほぼ無かったからだ。
声優でも、女優でも、モデルでも。人気者にはアンチが必ずいると言っても過言ではないのに。
俺もどちらかと言えば、万里くんや至くんのような人だと思ってた。
「あの子は、自分が頑張っている姿を決して人には見せません。だから、周りからは天才だと呼ばれていた。
そして、次第に周囲からは…��天才"としての由井Aを求められるようになったんです。」
「天才としての自分を求められる…。」
全く想像の出来ない状況。
きっと、俺が生きている間ないようなことだ。
「本当は、不安で怖くて泣きたくても…絶対に弱音を吐いたりミスをしたりしない。
バラエティ番組で無茶振りされた時も、瞬時に自分に求められている絵を判断して見せる
芝居においてのNGは無し。キスだろうが何だろうが、完璧にこなす。
…こうしていくうちに、Aちゃんは自分という存在を殺していきました。」
土井さんが少し悲しそうに言葉を紡ぐ。
…俺は、最後の言葉に聞き覚えがあった。
「どれだけ努力しても、天才という言葉に全てを奪われるんです。
天才だから、できて当たり前。失敗なんてしない、と。
あの子は天才と呼ばれるたび、自分を殺しました。…けど、それは長く続かなかった。
自分を殺し続けたら、今度は自分がわからなくなったんです。
そして、今度は自分の興味を全て自分に向けました。
そうすることで、あの子は自分の人格を失わなかった。けれど、周りへの興味が一切なくなったんです。
…これが、全てです。」
「…っ、」
シンと静まり返ってるリビングに、土井さんがティーカップを持つ音だけが響く。
俺は、何も言葉が出てこなかった。
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浴 - 三角との絡みを！！！とてもお話が面白くて好きです！応援してます！ (2017年10月19日 9時) (
レス) id: 3d5a1dcf59 (このIDを非表示/違反報告)
こっち(プロフ) - 三角、天馬、至さん、万里、臣くんでお願いします。ストーリーも面白く、書き方もとても好きなので応援しています！頑張ってください!! (2017年10月14日 18時) (レス) id: 4208411a04 (このIDを非表示/違反報告)
らいらい(プロフ) - 至、万里、左京でお願いします！ストーリー凄く面白くてつい夢中で読んでしまいました！これからも更新頑張ってください！ (2017年10月11日 6時) (レス) id: 5f81c7b3a4 (このIDを非表示/違反報告)
藤原(プロフ) - △、△、△でお願いします！ (2017年10月11日 5時) (レス) id: 47165f1ee4 (このIDを非表示/違反報告)
めめめ(プロフ) - 至、天馬、万里でお願いします!!! (2017年10月10日 21時) (レス) id: 9c357f7ed8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：青
| 作成日時：2017年9月12日 18時
