参拾 ページ34
同時刻___
疲れたな…殴られたところが痛む。
映画はまだ3本目だった。だけど、最初よりは幾分か殴られる回数も減っていた。
Aは昔から要領が良いわけでもセンスがあるわけでもなかった。それは、虎杖の隣にいることで散々気付かされてきたことだった。出来ないことの方が圧倒的に多かった。だからこそ勉強も運動も努力してきた。何もできない自分が嫌で、それでもできるって信じたくて。
努力は必ず報われる。綺麗事に聞こえるかも知れないけれど、Aは実感していた。報われないのは努力が足りない。心の底からそう思う。
実際今、コントロールはできていない。それでも最初と比べてみれば成長している。才能がないなら努力で補えばいい。それでも無理だと思ったら、もっともっと努力すればいい。
ぱちん、と両手で頬を叩いて気合いを入れたその瞬間、勢いよくドアが開いた。
「おつかれー」
『ノックくらいしてください心臓飛び出すかと思っ
「悠仁が死んだ」
『……は、』
まってまって、
どういうこと？
今日は4月1日じゃない。仮にエイプリルフールしたってタチが悪い。いつになく真剣な五条の眼差しに、本当なんだと思わざるを得なかった。
『…何があったんですか』
「急に言われても信じられないような話だけど––––
ああ、頭が痛い。吐き気がする。悲しいよりも先に怒りが湧き出る。こうなるのが怖かったんだ、と。死刑宣告を聞いた時は泣きそうだったけれど、いざこうなると不思議と涙は出ない。
虎杖と伏黒、釘崎が大変なときに、呑気に映画を観ていた。勿論、ただ観ていたわけじゃないしたくさん殴られはしたけど、みんなの痛みはそんなものじゃなかった筈だ。
本当に何してるんだろう。やっぱりあの時、無理言ってでもついていくべきだったんだ。いや、私がいたところで…と気持ちが右往左往する。
唇を噛みしめる。口の中に鉄の混じった味が広がった。
なんのためにここにきたのか。なんのために呪術師になろうと決意したのか。大切な人を守るために、虎杖悠仁を守るためにここで強くなることを決めたのに。
だけど、今ここで後悔したって遅い。
悠仁はもういないんだ。
今私にできることはなんだろう。
『五条先生、私に最強を教えて下さい』
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いくら(プロフ) - さらさん» さら様、コメントありがとうございます！そう仰っていただけて嬉しいです…励みになります…！更新再開のために文章を書き直しているため、終わり次第つづきのお話アップしていきますね◎ (11月21日 10時) (
レス) id: 9fd3faeaa3 (このIDを非表示/違反報告)
さら - はじめまして！！このお話最高です！！今シーズン1から読ませて貰ってます！！恵くん、推しにはたまりません！！きゅんきゅんです！！続き楽しみにしてます！！更新頑張って下さいね！！ (11月21日 0時) (レス) id: f9b4a84be1 (このIDを非表示/違反報告)
いくら(プロフ) - ラブカですこんにちはさん» コメントありがとうございます。正解です◎お分かりいただけて嬉しいです…！ (2022年3月3日 3時) (レス) id: 71d8b0023a (このIDを非表示/違反報告)
ラブカですこんにちは - あの映画鑑賞の映画ってもしかしてLEONですか？ (2022年2月9日 14時) (レス) @page32 id: cc346bfde8 (このIDを非表示/違反報告)
いくら(プロフ) - 雫様、コメントありがとうございます！オチはまだ未定です！まだまだ続く予定なので、引き続きご覧頂けたら嬉しいです◎ (2021年4月9日 15時) (レス) id: 71d8b0023a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いくら | 作成日時：2021年3月22日 11時
