睡眠 ページ23
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彼がまるで死んでいる様に眠り続けてから何日過ぎたのだろうか。最初は単に疲労だと思ってそっとしておいた。柱という役職で非番なんてロクに無し、そして私という居候の世話までしてくれている彼が多忙な一日を過ごしている事くらい私にも伝わっていた。だけど彼が眠り続けて一日が過ぎたら流石に彼の異変に気付くだろう。布団の中で動きをピクリともせず規則正しい呼吸で眠っている彼。
試しに「…実弥、」と彼の名前を呼んでみる。起きる気配なし。それどころか動く気配なし。呼吸以外彼は全く動かない。まるで本当に死人のようだ。
"生きた死人"。自分もそう言われた事は何度かあるが、今の彼は
あ、あの人なら。胡蝶しのぶさんなら、何か原因を特定出来るかもしれない。しかし、彼を背負って蝶屋敷まで運ぶのは難しかった。いや、体重的には何ら問題はない。自分は一度彼を片手で持ち上げた事があった。そう考えると彼をおぶって蝶屋敷まで運ぶのは容易い事だ。
じゃあ何が難しいのか?それは、"人の目"だ。風柱邸から蝶屋敷まで誰一人他人と会う事なく到着するのは確実に有り得ない事である。街の人、鬼殺隊士、柱の誰か、小さな子供…誰に
多分…いや確実に彼は顔を真っ赤にして怒るだろう。いや、怒るだけならまだ可愛いものだ。私を含め、自分の醜態を目撃した者全員、彼の手によって殺されるだろう。彼の性格からそうだ。"あの時"も、声を荒らげて私は怒られた。
「…」
無言で彼の寝顔を見つめる。すると縁側から「カァー!カァー!」と鳴き声が聞こえた。彼の鎹鴉だ。私は彼の鎹鴉に「しのぶさんに…渡して、ほしい」と彼の容態について説明した紙を渡し、届けてもらった。ひと時も彼の傍を離れたくなかった。
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「身体に外傷は無し、呼吸も異常なし…見たところただ眠っているだけのようですね」
「何も問題はありません、眠り続けている以外は」と、しのぶさんは私に顔を向けて言った。
「…何故、…起きない、んでしょうか…」
恐る恐る聞いてみる。
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うぇすとり?ぁー(プロフ) - 大ファンです!完結おめでとうございます!伏線回収も回想シーンも最高でした!自分はアザミちゃんが好きです。 (2021年10月3日 23時) (レス) @page48 id: 9275faa17d (このIDを非表示/違反報告)
ライアミ - めっちゃ泣けたヨ!布団がめちゃくちゃ濡れてんだけど……………ヤバいネ。感動をありがとアル!泣くことや笑うことはストレス発散になるからネ!終わりヨ! (2021年3月28日 1時) (レス) id: 2c479952a6 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 光華さん» コメントありがとうございます。光華さん、いつも自分の作品にコメントしてくださって、本当にありがとうございます!鬼滅作品を思う存分書いた後、すぐに銀魂復帰しますので、約束です! (2021年1月25日 0時) (レス) id: 611a77bbbd (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - 完結おめでとうございます!次も鬼滅ですか!銀魂も鬼滅も好きなので!! 銀魂作品更新応援してます!何時までも待ってますんで、虚無感ゆっくり消化してください (2021年1月24日 18時) (レス) id: a571740452 (このIDを非表示/違反報告)
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