少女 ページ48
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「ふーん、変なの」
フフフと鼻で笑いながら彼女は俺の顔を見ていた。
「なァ、此処は何処だ?」
俺は辺りを見渡しながら彼女に聞いてみた。最初は真っ白な場所。そして、あの屋敷。今度は真っ黒い世界。次は、少女の部屋。最後は此処、薊の花が沢山咲き誇った花畑。紫、赤、青、白。色んな色が咲いていてとても綺麗だ。
その花畑にぽつんと立つ、俺と彼女。彼女の服装は黒い袴でもなく、緑の着物でもない。和服じゃなくて、西洋の洋服。スカート、ってやつ。いや、スカートじゃなくて、ら上と下が繋がってる。なんて言うんだっけ、…ワンピース?ってやつ。白いワンピースを着た、黒髪を
「此処はね、私の
フッと彼女が笑った。ああ、やはり彼女は彼女じゃない。俺の知っている彼女は、どこか不安げで、よく下を向いていて、でもたまに笑いかけてくれて、世話のやける子だ。こんな自信ありげな、真っ直ぐ俺を見つめて、笑顔絶やさず、しっかりした彼女は…俺は知らない。
「アンタは、…誰だ?」
「私?私は薊美Aだよ、お兄さんの名前は?」
「…不死川、実弥」
彼女は"実弥さんか〜"って笑いながらしゃがみ込み、足元に咲いている薊の花を摘んでいた。
「紫の薊は〜"気品"と"厳格"。白は"自立心"で〜、青は"安心"、"満足"。─────じゃあ、私の瞳の色は?」
「…赤」
座ってまずは定番の紫の薊を摘む。次は白色、そして青。三つの花を摘んで手に持つと、俺の方に顔を向けた。もう片方の手は、赤い薊の花の茎を掴んでいる。彼女の瞳の色は、赤みがかった薊色。
「そう、赤」
そう言いながら彼女は、さっきの三本の花とは全く違う扱いの様にブチッ!!という効果音を発しながらその赤の薊の茎を引きちぎった。
「、オイ…」
「赤の薊の花言葉は〜」
引きちぎった赤の薊を見つめて、彼女は目を細めた。まただ、また、その
「"権威"、"報復"…そして、───────"復讐"」
ニタァと、前に見た笑顔で俺を見ていた。
「…だから、何だ」
震える唇を無視しながら、俺は喋った。なんでこんなに怯えてるんだ、俺は。
「何にもないよ。そう、なーんにもない。私の中身はもう空っぽなんだ。貴方が護りたかった薊美Aは、もう空っぽ」
クシャッと沢山付いている薊の花弁を掴んだ。そして、呆気なくソレを引き裂く。
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ほわ - はじめまして!読むの楽しいです!!もしかしてDECO*27さんの依存香炉の歌詞引用されてますか!?!? (2021年3月12日 10時) (レス) id: 67e3028028 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 芋けんぴさん» コメントありがとうございます。不死川さんのキャラ、書きやすそうで意外と書きにくい、掴みどころや考えてることが分からないような、、、そんな事をいつも考えながら書いてます笑作品を褒めて頂き嬉しい限りです!これからもこの作品をよろしくお願いいたします! (2021年1月18日 20時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 光華さん» コメントありがとうございます。確かに…共通点多いですよね、、、その姿にいつの間にか惚れてしまったのかもしれません…!もうすぐ続編へと移行しますので次の作品もよろしくお願いいたします! (2021年1月18日 20時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
芋けんぴ(プロフ) - 初コメント失礼します。私も鬼滅だと不死川さん推しです。不死川さんのキャラを殺さず、丁寧に物語を紡いでいるところにとても惹かれました!今から続きを読ませていただきます!! (2021年1月18日 1時) (レス) id: e6e71631e0 (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - はわわわ 感激です! 鬼滅だったら不死川さんなのわかります!護る為に大切な人を突き放すところとか何か共通点があって土方さんと似てないけど似てるんですよね。(結局垢名前垢と同じ) 作品更新応援してます! (2021年1月17日 17時) (レス) id: a571740452 (このIDを非表示/違反報告)
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