異能 ページ47
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やめろ、やめてくれ。女のお前がそんなやり方で鬼を殺すんじゃない。
そんな俺の思いは少女に届くはずもなく、少女は溢れ返った自身の血液を放出しながらそのまま鬼の口元へ近づけた。血を、飲ませた───?
「あ?何だこれ、血…」
鬼がそう呟いた瞬間、少女の眼は
───彼女の血液が異質で人を喰らう鬼が唯一食べる事が出来ない血、それがAさんです。
胡蝶の言葉が脳裏に
「…A、」
何で、今まで忘れてたんだろう。何で、今まで何も感じなかったんだろう。そうだ。目の前に居る少女が、目の前で戦っている少女こそが。
「───────A…ッ!!!!」
そう叫んだ瞬間、血を飲んだ鬼が暴れだす。
「う"ぁ"あ"アアア"!!!な、何だこの腐った血はぁ"…!!焼ける、焼けるように痛みが来るぞぁ"あ"!!」
自分の喉を抑えながらもがき苦しむ鬼と、その姿をニタニタと笑いながら見ている少女。
「……もう、消える」
そう少女が言い放つと鬼の身体は頸を斬っていないのにみるみる煙を立ち跡形もなく消えていった。どういう事だ。日輪刀で頸を斬らずに、殺しただと?
少女は鬼が消えていく姿を真顔で見つめ、そして屋敷の中に入ろうと壁によじ登り、そのまま飛び越えて屋根の上へと登った。怪我をしていながら、なんという身体能力の高さ。
屋根の上に戻った少女はそのまま窓へと進み自分の部屋へ入っていったのだった。俺はその姿を外から見つめていた。
──────少女は、異能力者だ。
今日の出来事からして、俺は確信した。しかし、やはりあの"殺り方"には納得いかなくて。どうしたら良いのか分からないまま俺はそのまま目を瞑った。
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「お兄さん、誰?」
「…、A?」
また、場面と背景が変わった。でも今度はいつもと違う。目の前に、彼女が居た。歳は…さっきよりかは成長しているが、二十歳ではない。十六あたりだろうか。
「何で私の名前を知っているの?」
「…いや、何でもねェ、」
何かが違う。確かに今目の前に居るのは紛れもない彼女自身だが、口調といい、表情といい…俺の知っている彼女とは少しばかり違和感があった。
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ほわ - はじめまして!読むの楽しいです!!もしかしてDECO*27さんの依存香炉の歌詞引用されてますか!?!? (2021年3月12日 10時) (レス) id: 67e3028028 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 芋けんぴさん» コメントありがとうございます。不死川さんのキャラ、書きやすそうで意外と書きにくい、掴みどころや考えてることが分からないような、、、そんな事をいつも考えながら書いてます笑作品を褒めて頂き嬉しい限りです!これからもこの作品をよろしくお願いいたします! (2021年1月18日 20時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 光華さん» コメントありがとうございます。確かに…共通点多いですよね、、、その姿にいつの間にか惚れてしまったのかもしれません…!もうすぐ続編へと移行しますので次の作品もよろしくお願いいたします! (2021年1月18日 20時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
芋けんぴ(プロフ) - 初コメント失礼します。私も鬼滅だと不死川さん推しです。不死川さんのキャラを殺さず、丁寧に物語を紡いでいるところにとても惹かれました!今から続きを読ませていただきます!! (2021年1月18日 1時) (レス) id: e6e71631e0 (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - はわわわ 感激です! 鬼滅だったら不死川さんなのわかります!護る為に大切な人を突き放すところとか何か共通点があって土方さんと似てないけど似てるんですよね。(結局垢名前垢と同じ) 作品更新応援してます! (2021年1月17日 17時) (レス) id: a571740452 (このIDを非表示/違反報告)
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