人質の育て方【不死川実弥】

家族 ページ49

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｢実弥さんはAを護りたかったんだね｣
｢でもごめんね、Aは護られる程大層な人間じゃないんだよ｣
｢見たでしょ、あの"殺り方"。怖いよね、怖いよね。
分かる、分かるよ。あの子の血は人間じゃないんだって｣

｢何でだと思う？何でAは普通じゃなくなったんだと思う？｣
｢私はね、あの子が"アレ"を付けた時から、もう既に普通じゃなくなったんだと思う｣
｢私には付いてないんだ、だから違和感あったんでしょ？｣
｢あぁ、そんなの無くてももう違和感だらけか。だって私の名前も薊美Aだもんね｣
｢でも私はあの子とは違う。あの子と一緒にしないで。私はね、"普通"なの｣

｢私はちゃんと愛されてる、褒められてる、必要とされてる─────！｣
｢だから人質にされなかった、捨てられなかった、手を離されなかった…ッ！！！｣
｢アイツはダメだった。愛されなかった、褒められなかった、必要とされなかった。だから人質になった。捨てられた。手を離された。そして…"首輪"を付けられた｣


｢………｣
｢…人間だよ？私、ちゃんと人間なんだよ？
人の価値ってなんだろうね、人としての扱いってなんだろうね、私は一体…なんだろうね？｣
｢共感なんて…同情なんて、死んでもするなよ｣
｢私を哀れむな、私を可哀想だと思うな、私を護りたいって思うな！！！｣



｢私をそんな眼で見るな────ッ！！！！！｣
｢護られる程弱い人間じゃない！そんなに弱かったら、私は…私はここまで一人で生き抜いてないッ！！｣

｢同情？哀れみ？可哀想？なんだなんだ、そんな形だけの言葉を並べてッ！楽しいか！？そんな言葉を並べて満足したか！？"良い人"になれたか！？｣
｢そんなモン、頼んでないんだよッッ！！！！！｣
｢私は、わた、しは…！！｣

｢家族を…両親を…、兄弟を…ッ！護りたかったから…！！護りたいから、だから、…こうやって自分の身体を傷付けて、…｣
｢逃げたい消えたい死にたいって、沢山考えて…！生きたくないって何度も思ってッ！！｣
｢結局、待ち望んだ家族は…？私が生命(いのち)を懸けて護り抜きたかった家族は…？｣



｢────"鬼"になった、なんて。信じられる？｣
｢鬼になって、私が殺したなんて…信じられる？｣
｢私は、私はなんの為に人質になったんだ？｣

｢逃げるため？｣
｢消えるため？｣
｢死ぬため？｣
｢…生きる、ため？｣




｢ねえ、教えてよ、お願いだから｣
｢家族を…生かせてよ｣





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