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大人ぶった子供。志村Aという生徒の最初の印象はこうだった。周りの生徒よりも一際冷静沈着であり、個性もある程度の才能を持っていた。だがその個性をここぞとばかりに見せつける様子もなく、入試の成績もずば抜けて良い訳ではなかった。どこか一定ラインを超えると自制する様な、入学式の時に実施した体力測定もそうだった。何より、彼女が持つ紅い瞳が全てを物語っていたのだ。俺からしたら彼女はヒーローを心から目指しているようには到底見えなかった。むしろ、期待していない目付きに見えた。
入学して日は経ったと言うのに、誰かとつるんでいる様子もなかった。あの刺々しい爆豪ですら誰かと一緒に居る所を何度か目撃した事があったが、志村に対しては全くそれが皆無であった。きっと友人関係を築き上げる気がないのだろう。成績も問題ナシ、個性の扱い方も上手い。優秀者として扱いをされてもおかしくない彼女に異変が起こったのは先日のUSJ襲撃事件からである。
誰もが驚いただろう。可もなく不可もなく、何事にも興味を示さないで有名な彼女があんなにも取り乱して敵に突っ走る姿を見てしまったのだから。そしてまた、誰もが目を見開いただろう。クラスで成績優秀な彼女が、あんなに大怪我を負ってボロボロの姿に変わり果ててしまったのだから。
「……何も、聞かないんですか」
包帯をグルグルに巻いた俺の隣に並ぶのは、先程空き教室で呼び出しを喰らった当本人だ。彼女の右腕は骨折し、ご丁寧にギプスを装着し、顔中に絆創膏やガーゼや包帯が巻かれてあった。緑谷もかなりの怪我を負ったが一番は彼女だろう。緑谷と違って何事も自分に有利かどうか分析するタイプの彼女が、何も考えずに戦う姿を見て。あの死柄木弔と名乗る青年を前に狂気じみた表情を浮かべたあの姿を見て。何かがあるとは察せるがそれが何なのかは、まだ暴けず。
控えめにそう聞いてくる志村Aの横顔を包帯と長い前髪で隠れきった隈だらけの俺の瞳が捉えた。そう言えば彼女の目の下にも高頻度で隈がある。寝不足なのか。それとも別のワケがあるのか。
「聞いたところでお前はまだ答えたくないんだろ」
「それが通用するんですね。私が言うのもなんですが、その判断が正しいとは到底思えません」
「だろうな。だが大切な生徒を脅してまで真相を暴くのもよろしくはない」
「……へえ」
教室に向かうまでの道のりが嫌に長く感じた。もうすぐ体育祭だ。これをきっかけに何かが変わって欲しい。
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麗葉 - とても面白かったです！空白があると読みやすいかなと思います！ (6月19日 14時) (
レス) id: 14fd5e9416 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - レオさん» コメントありがとうございます。夢主の過去は後に出てきますので暫くお待ち頂けると幸いです。これからもこの作品をよろしくお願いいたします。 (2021年12月14日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - eggちゃんさん» コメントありがとうございます。更新頻度をあげられるよう全力を尽くしますのでこれからもこの作品をよろしくお願いいたします。 (2021年12月14日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - のむさん» コメントありがとうございます。ファンになって頂けるなんて光栄です。これからもこの作品をよろしくお願いいたします。 (2021年12月14日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 猫さん» コメントありがとうございます。これからもこの作品をよろしくお願いいたします。 (2021年12月14日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
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