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「シュート出来るかァ?」
「勘弁しておくんなまし」
身体をめいいっぱい使ってバッテンマークを作るもボールは呆気なく私の手の中に。超要らない。でもシュートしろって煩いからなるべくゴール下に近付いて両手でヒョイッと上へ放り投げる。
「いやいや入るわけ」
「見事に届いてねェなァ」
「いやいや届くわけ」
そう言ってさねみんは転がったボールを拾い上げてそのままドリブルをし始め、高く飛んでダンクシュート。イケメンかよ。体力テストの結果的に分かっていたが、運動神経抜群の彼は私には到底扱い切れない大きなボールを悠々に遊び尽くしている。その姿を体育館の隅で体育座りしながら見学していた私は段々と眠くなり、うたた寝しようとしていた。
「オイ起きろ、1人でバスケしても楽しくねェんだよ」
「……私を1人にカウントしない方がいいと思う」
"て言うか…"と、言葉を付け足して私はジト目で彼の身体をもう一度
「さねみん絶対ダイエットする必要ないよね。ちょっとお腹触らせてよ」
「は?ちょ…ッ」
拒否権は無しと言わんばかりに私はさねみんのお腹辺りを試しに触ってみた。いや服の上からじゃ分かんないな、と思ってシャツの中に手を侵入させる。
「てめっ…!馬鹿野郎ッ何処触ってんだァ!」
そんな言葉を無視して私はさねみんのお腹に直接触れた。…いや、触れたんだけどさ、
「かった」
「はァ?」
「いや硬っ」
めっさ硬かった。腹筋。いやばっきばきじゃん。無言でそのまま二の腕も掴む。
「いやむっきむきじゃん」
全ての謎が解決して私は哀れんだ目で彼を見た。
「さねみん、これ脂肪じゃなくて筋肉のせいで体重増えたんだよ」
「…はァ?」
「お触りになったら分かる。引き締まったね」
こうしてダイエット企画は終了。さねみんに糖分を取り上げる事は無くなったのであった。
「めでたしめでたし、で良いじゃん」
「良くねェ。昨日の出来事でよく分かった、お前は筋トレが必要だァ」
いや全然めでたくなかった。
「つー訳で今日から階段登る時お前を運ばねェから」
「…た、たくしーは?」
「タクシーは臨時休業だァ」
"
「…見捨てられた」
絶望的な表情で私はかなり落ち込んだが、翌日あまりにも階段を登るのが遅過ぎた私に痺れを切らして彼はタクシーを再開してくれた事は内緒にしておこう。
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うぇすとり?ぁー(プロフ) - 前編読み終わりました!いくまさんのギャグセンス最高でした!へいたくしーが前編の最後のシーンでは言えなくなってしまう甘酸っぱい展開最高でしたっ! (2021年10月13日 22時) (レス) @page50 id: 9275faa17d (このIDを非表示/違反報告)
最高 - これはッ!!!絶対にもッッッッと伸びるべきです(迫真)本当に面白いです可愛いです最高です (2021年3月18日 16時) (レス) id: f0ef8aefa1 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - ルナさん» コメントありがとうございます。最初、田中くんの漫画を読んでこんなヒロインを書きたいなと思い執筆させて頂きました。お気付きになられたとは笑これからの展開はオリジナルが多いのでお時間あれば続編も是非ご覧になって下さいね! (2021年2月27日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - yuenさん» コメントありがとうございます。作品を好きと言って下さり嬉しい限りです……!続編もよろしくお願いいたします! (2021年2月27日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ - 田中くんはいつもけだるげだ!! (2021年2月27日 14時) (レス) id: 72ff3a10a5 (このIDを非表示/違反報告)
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