へいたくしー【不死川実弥】

肥満 ページ8

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　────それは、突然訪れた。

「さねみんの元気がない」
「何だと」

　隣のクラスの冨岡と2人で教室の隅の方からさねみんの様子を伺っていた。今日のさねみんの様子は少し変だ。ボーッと席に座って私のお世話を余りしてくれない。お世話してよ。

「冨岡聞いてきてよ」
「…行こう」
「はい言葉足らず」

　スタスタと冨岡と共に近付く。そして冨岡がゆっくりと口を開いてさねみんに尋ねた。

「不死川…元気、ないな」

　え、それだけ。何かあった？とか聞かない系？そしてさねみんフル無視するじゃん冨岡半泣きで震えてるじゃん。そう思ったがあえて言葉にしなかった。流石の私も空気は読める女だから。

「さねみん…何か悩みでもあるのかい。私が解決できる範囲で相談にのるよ」

　スっとさねみんの顔を覗き込む形で顔を近付けた。するとさねみんは私の目を見て少し躊躇った表情をし、「実はよォ」と言葉を連ねた。


「最近甘い物食い過ぎて3kg太った」


　悩みが乙女！！！


.


「見た感じそんな太ったようには見えないけどね」

　色々と無言多めで邪魔だった冨岡を強制送還させて私は自分の席に座り前に居るさねみんの身体を見つめながら答えた。

「いや実際この1ヶ月で3kg太ったんだよ…、まずいぞ。このままいったら数ヶ月後には…」

　青ざめるさねみんを見ながら数ヶ月後激太りした彼の姿を想像してみる。

「…私を持ち上げる時ふかふかになって良いと思う」
「抱き心地を優先してんじゃねェよ」

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「じゃあ甘い物抜いてダイエットするしかないね」
「いや、糖分抜くのはちょっと…」

　ぐぬぬと自己嫌悪しているさねみん。どうにか手立ては無いのかと考えてはみるものの特に案は浮かばない。

「じゃあ運動しよう」
「あァ…それが一番良いかもなァ」

　私は勿論帰宅部だがさねみんは歳の離れた兄弟の世話をするのに忙しい為同じく帰宅部。運動する機会は授業の体育のみ。ちなみに私は体育すらしない。体育座りで見学しか勝たん。

「とりあえず昼休み体育館で運動すっかァ」
「賛成賛成〜」
「Aも一緒にやるぞ」
「反対反対！」

　強制連行！！！

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「誰も居ないなァ」
「今日に限って狙ったかのような無人さ。憎んでやる」

　昼休み。いつもなら微睡(まどろ)みながら席でだらける至福のひとときなのにさねみんダイエット企画のせいで体育館に来ている。

「バスケットボールあるぞ、やるかァ？」
「絶対誘う相手間違ってる」

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