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綺麗 ページ42

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 私は小舟の中心に立ち、現場をずっと見ていた。祈りを捧げるように自身の両手をギュッと握り締めながら、ただただ見つめていた。

 だから殺し合いは嫌いなんだ。

 こうやって何もせずに待つのも、全てを背負って行くのも、両方嫌なのだ。どちらも心が痛む。それだけだ。


·

 真選組総勢が戦い続けた中、鬼兵隊も苦戦を虐げられたが逃亡に成功したらしい。あの高杉の事だ。真選組が駆けつける事も想定内だったのだろう。後から聞いた話だが、私を拉致した過激派攘夷グループの傀儡(かいらい)党が真選組によって身柄を拘束されたらしい。何はともあれ無事に全てが解決したようだ。

「A」

 場所は大江戸港。傀儡(かいらい)党に連れ去られてから着ていた着物はボロボロで所々ちぎれが目立っていた。髪も勿論ボサボサで化粧も殆どしていない。こんな汚い身なりのまま私は彼と対面して大丈夫なのかと今更ながら不安が募っていた。
 しかしそんな私の葛藤なんて知りもしない様子で彼は私の名を呼ぶ。呼ばれた瞬間ビクッと肩を鳴らせたが、ひとつ深呼吸をして覚悟を決め振り返る。

「────土方さん」
「おう」

 同じく彼の隊服も少々汚れていたが、容姿が良いからそれさえも映えてしまっている。黒いサラサラの髪が風に靡き、口元にはお決まりの煙草が煙と共にゆらゆら揺れていた。彼の背景には海から覗く夕焼けが照らされ、橙色と彼が持つ藍色の瞳との対比がとてつもなく美しかった。

「……綺麗」
「あ?」

 思わず無意識にそう呟いていた。彼は何の事か分からない様な表情(カオ)だったが、そんな姿を見てると頬が緩んでしまう。

「綺麗ですよ、土方さん」

 ────初めて会った時から、ずっと…

 伝えた。一世一代の大イベントだと思っていた告白は案外ポロッと零れ落ちる様な感じで終わってしまった。もう思い残す事はない。付き合いたいとかそんな烏滸がましい願望なんてない。ただひと言、そのひと言。ありったけの想いをを伝える事が出来たらそれで良かった。それだけで良かった。

「……テメェのが綺麗だろ」

 ふうと口から白い煙を吐き、彼は真剣な表情でそう言った。面白半分で冗談を言う人ではない。からかっている様子でもない。全身の熱が顔面に一点集中させられている気分だ。この人は、ずるい。

「私……全然綺麗じゃないですよ」

 そのずるさに甘えてしまう。

「沢山、人を殺めました。傷つけました」

 ねえ、抱き締めて。

我儘→←確信



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いくま(プロフ) - ふぉい!さん» 選ばれたのは綾〇ですよ((ニコッ (2018年7月24日 8時) (レス) id: 8c955fc7fb (このIDを非表示/違反報告)
ふぉい! - 選ばれたのは綾鷹wwww (2018年7月2日 19時) (レス) id: 1633712eeb (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - マピトさん» コメントありがとうございます。一番だなんてとんでもないです。。。私もずっと土方さん推しなのでマピトさんの小説読んできます! (2018年4月5日 14時) (レス) id: 8c955fc7fb (このIDを非表示/違反報告)
マピト - 今まで見てきた小説の中でこの小説が一番良いなと思いました。 私も土方オチの小説を書いているので見習いたいと思います! (2018年4月5日 11時) (レス) id: 9353c4256d (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - ユラさん» コメントありがとうございます。瞬時に思って頂き光栄です、笑しかし文才が皆無なのでこらから無茶苦茶展開になると思いますが、これからもよろしくお願い致します。 (2018年4月4日 12時) (レス) id: 8c955fc7fb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:いくま | 作者ホームページ:http  
作成日時:2018年4月2日 20時

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