剣士 ページ35
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橋本Aが消えた。何もかもなかった様に、まるで今までの存在が嘘だったかの様に、静かに、消えた。
柊さんが屯所から出た後、俺は自室で一人大量の書類を見つめながら彼女の行方を考え込んでいた。
何かの事件に巻き込まれたか。それとも、──俺のせいか。いや、流石にこれは深く考え過ぎか。何はともあれ彼女の行方を探さなければならない。真選組副長として。いや、土方十四郎という一人の男として。
「…何が一人の男として、だ」
結局俺は何も出来なかった。アイツが背負う大きなナニカに触れる事さえ叶わなかった。俺は、何も護れやしなかった。そんな俺に一体何が出来るというのか。
そんな時に、また廊下を猛ダッシュする効果音が部屋に響き渡った。デジャヴというやつか、その走ってくる男の正体が見なくとも頭に浮かび上がる。
「副長ォオオ!!」
「うるせェエエ!!廊下走ンなって何度言ったら分かんだ切腹させるぞコノヤロー!!」
足音の主である山崎退の顔面を盛大に蹴り飛ばしてそう叫んだのだった。
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「…
「そうなんです。今、巷で噂になってまして」
「
「それがそうもいかないんですよ」
「…あァ?」
山崎の言葉に眉をひそめて、ジッと見つめる。山崎は手に持っていた書類をもう一度目を通しながら口を開いた。
「妙な動きというのが…鬼兵隊の出入りが激しいとの事でして」
「…鬼兵隊が、
「情報は…確かかと」
そうしてまた黙り込む。嘘をついている様には到底思えない
「…分かった」
「あと、もうひとつだけ」
「…何だ、手短に頼む」
「は、はい。これは確証はなくただの風の噂なんですけど。攘夷戦争時代に名を馳せた唯一の女剣士が、
「……女、剣士?」
まただ。また、あの時と同じ妙な胸騒ぎがし始めた。またしても全身に鳥肌が立ち、目の前に座る山崎の
─────…助けて、土方さん
ガタン、と。大きな音を立てて俺はその場に立ち上がった。変な汗が止まらない。呼吸がしにくい。
「その剣士の…名は?」
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いくま(プロフ) - ふぉい!さん» 選ばれたのは綾〇ですよ((ニコッ (2018年7月24日 8時) (レス) id: 8c955fc7fb (このIDを非表示/違反報告)
ふぉい! - 選ばれたのは綾鷹wwww (2018年7月2日 19時) (レス) id: 1633712eeb (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - マピトさん» コメントありがとうございます。一番だなんてとんでもないです。。。私もずっと土方さん推しなのでマピトさんの小説読んできます! (2018年4月5日 14時) (レス) id: 8c955fc7fb (このIDを非表示/違反報告)
マピト - 今まで見てきた小説の中でこの小説が一番良いなと思いました。 私も土方オチの小説を書いているので見習いたいと思います! (2018年4月5日 11時) (レス) id: 9353c4256d (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - ユラさん» コメントありがとうございます。瞬時に思って頂き光栄です、笑しかし文才が皆無なのでこらから無茶苦茶展開になると思いますが、これからもよろしくお願い致します。 (2018年4月4日 12時) (レス) id: 8c955fc7fb (このIDを非表示/違反報告)
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