一度 ページ34
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「私が望む物は何ひとつ変わっていません。平穏を壊すものなら、誰であろうと処す」
昔、同じ志を持ち共に戦った筈の知り合いと唯一交わした言葉がこれだ。このご時世、戦争に立とうと思うイカれた女はアイツくらいしか居ないだろう。しかしその女はそこら辺のイカれた頭を持った人間とは打って変わって全く別の人格を持った人間だった。
女は、良くいえば常に冷静沈着、悪くいうなら人と関わりを持たないただの面倒臭がり屋。その表現が一番適切だった。一応、寺子屋時代からの幼馴染とも呼べる存在だったが、俺とアイツの関係は親友でも無ければ友人でもない。そう、ただの知り合い。顔見知り。
戦争が終わってすぐ、女は消えた。未練がましく立ち去る、なんてそんなかしこまった事もせず。戦争の結果に絶望して泣き叫ぶ様子もなく。
ただひっそりと、元からアイツという存在は居なかったのかと疑うくらい静かに消えた。
そう、そんな女だった。それくらいの女だった。
「高杉」
「あ？」
だが、一度。たった一度だけ。
「…何だ、これ」
「さっき私を庇って左肩斬られてたよね、ごめん」
申し訳なさそうな
「何でヤクルコなんだ」
「好きって聞いた」
「誰から」
「坂田」
「…あンのクソ天パ」
青筋を立てらせながらそう呟き、女から貰ったヤクルコを嫌々ながらも受け取った。借りはしっかり返す、そういう女なのだろう。律儀と言えばいいのか、面倒事は避けたいというのか。
「…あんがとよ」
ヤクルコ片手に、ひとつ礼。俺も意地っ張りなのか何なのか、目線は絶対アイツに合わさずそして今にも消えそうな声でそう言った。
そしてそのままこの場を立ち去る、つもりだった。
「…何だ」
「あ、いや」
アイツが俺の裾を引っ張ったのだ。急に、予想だにしない出来事だった。
「無理、しないで」
俺の目を真っ直ぐ見て、何も不審がらず確信めいた
「…してねェ」
ぶっきらぼうに自身の裾を引っ張っりアイツの手を放す。そして振り向きもせず持ち場に戻った。
─────無理、しないで
「…何でバレてんだよ」
先程からズキズキと痛めていた左肩の傷が、今になって激しく暴れてくる。誰にも悟られぬ様に過ごしてきたのにも関わらず、バレた。
「うぜー女だ」
心からそう思う。
────そんな女が、此処に来る。
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いくま(プロフ) - ふぉい！さん» 選ばれたのは綾〇ですよ((ﾆｺｯ (2018年7月24日 8時) (
レス) id: 8c955fc7fb (このIDを非表示/違反報告)
ふぉい！ - 選ばれたのは綾鷹wwww (2018年7月2日 19時) (レス) id: 1633712eeb (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - マピトさん» コメントありがとうございます。一番だなんてとんでもないです｡｡｡私もずっと土方さん推しなのでマピトさんの小説読んできます！ (2018年4月5日 14時) (レス) id: 8c955fc7fb (このIDを非表示/違反報告)
マピト - 今まで見てきた小説の中でこの小説が一番良いなと思いました。 私も土方オチの小説を書いているので見習いたいと思います！ (2018年4月5日 11時) (レス) id: 9353c4256d (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - ユラさん» コメントありがとうございます。瞬時に思って頂き光栄です、笑しかし文才が皆無なのでこらから無茶苦茶展開になると思いますが、これからもよろしくお願い致します。 (2018年4月4日 12時) (レス) id: 8c955fc7fb (このIDを非表示/違反報告)
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